病院に通わず睡眠治療が可能!? 「遠隔診療」はどこまで来ている?

最近、病院に行かなくても医師の診療が受けられるという「遠隔診療」が注目され始めています。病院に何度も通うのはハードルが高くて…という方には便利な方法かも。いったいどんな風に診察を受けるができるのでしょう? 睡眠の悩みなどでも受診できるのでしょうか? オンライン通院システム「CLINICS(クリニクス)」を運営する株式会社メドレーの医師である島佑介さんにお話を伺いました。

病院に行かなくても、医師の診察が受けられる

遠隔診療は、PCやスマートフォンを使い、オンラインで自宅など好きな場所から医師の診察を受けられるサービスです。まだ普及が始まったばかりですが、採用する病院や医師は少しずつ増えているといいます。
 
「実は、遠隔診療自体はこれまでも日本の医療現場で行われていましたが、僻地や離島など、病院へ通うことが難しい場所での導入に限られていました」と島さん。しかし、2015年8月に厚生労働省が「遠隔診療」の解釈を事実上拡大したことで、都市部などでも導入が可能になったことをきっかけに、採用する病院が広がり始めているのだそう。
 
保険診療の場合、初診は「対面診療」が必要とのことですが、病状が安定していれば、「遠隔診療」に対応している病院なら、2回目以降の受診はオンラインで行うこともできるようになります。オンライン受診では、予約した時間にPCやスマホの「ビデオチャット」で医師と通話をします。
診療時イメージ(患者)

ビデオチャットではモニター越しに診察を行う

 

「ビデオチャットでの診察は、お互いの顔を見ながら会話しますし、また必要に応じて患部をカメラで確認できますから、対面診察と変わらない感覚でやりとりできます」と島さん。「医師と対面しないで、本当に自分の症状を理解してもらえるの?」といった心配は不要のようです。
 
受診料の決済はオンライン上で行うことができます。また薬が処方される場合は登録した住所に処方箋が配送されるので、患者は近所の調剤薬局などで薬を購入して医師の指示通りに服用する、という流れになります(薬を院内処方している病院の場合、病院から薬が直送されるケースもあります)。
 
iOSアプリイメージ

iOSのアプリイメージ

睡眠の悩みも、遠隔診療で受診することが可能

では、どんな病気、症状でも遠隔診療による受診が可能なのでしょうか。島さんによると、慢性疾患や生活習慣病など、経過観察が診療の中心となるタイプの病気は遠隔診療が向いているといいます。
 
「患者さんにとって遠隔診療の一番のメリットは『受診を継続しやすい』こと。長期の通院になると、病院へ通うことが負担になり、治療が完了する前に通院を止めてしまうケースが多いのです。『遠隔診療』ならその負担を減らせるので、患者さんはしっかりと継続的に診療を受けることができます」(島さん)
 
不眠症や睡眠障害なども遠隔診療が有効な場合があるとのこと。
 
「不眠症や睡眠障害にはさまざまな原因がありますが、メンタルが原因で不眠の症状に陥っている方が多くいらっしゃいます。その場合、精神的に外出が困難なことも。不眠症や睡眠障害の診察は、薬の効き目や症状の経過を医師がヒアリングするのが主体なので、ビデオチャットで対応することが可能です。患者さんに負担をかけず治療を行っていくことができます」(島さん)
 
同様に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの診療で医師のヒアリングが主体の場合には、ビデオチャットでの対応が可能だそう。
 
「睡眠時無呼吸症候群の治療は、経過観察のために1カ月に1回程度通院することが一般的。症状改善になかなか進展が見られない場合、通院が負担になり、患者さんが途中で治療をやめてしまうケースもありました。そこで、遠隔診療と通院を組み合わせ、通院頻度を3カ月に1回に減らすことで、治療の継続性が上がっているという事例があります」(島さん)
 
ただ、急性期疾患など触診や検査、患部を直接手当するような病気については、遠隔診療が適さないケースもあるのだそうです。

病院に行かなきゃ…と思ったときの選択肢に

島さんによると遠隔診療は「治療のスピード化」「完治率のアップ」にも貢献するのだそう。
 
「遠隔診療を利用すれば、間を空け過ぎることなく検査結果を患者に伝えることができ、必要な治療に素早く切り替えられることができます」(島さん)
 
従来のように病院に通うスタイルの場合、患者が度々病院に通う時間が取れないことから、検査をしてからその結果の説明までに1カ月くらい期間を置くことがありました。その場合、検査の結果がすぐに出ても、その期間は症状を放置することになってしまいます。
 
その点、遠隔診療なら、患者に30分程度の時間を確保してもらい、スマホやPCを通じて検査結果を知らせることが可能になるので、間を空けずに次の治療ステップに進むことができるのです。また、「受診が続けやすい=治るまで治療を受けるので、完治率が上がる」という点もメリットとして大きいとのこと。
 
とはいえ、遠隔診療を導入している病院はまだ少数です。どんな病院でも利用できるようになるには、「もっと患者さんに広く知ってもらい、ニーズが高まることが必要」と島さん。
 
「遠隔治療という選択がある、ということを知っている患者さんは、現時点ではごく少数です。患者さんの側からも “オンラインでの通院に切り替えたい”という声があがり、医師と一緒に、より良い通院スタイルを考えるという風景が定着したらと思っています」(島さん)
 
ただ、医師からの注目は熱く、内科、皮膚科、精神科、耳鼻科、婦人科など、さまざまな病院での導入が広まりつつあるそうです。なかなか病院に通うことができない…という多忙な方は、受診の選択肢のひとつとして遠隔診療を覚えておくといいかもしれませんね。
 
監修:株式会社メドレー CLINICS事業部 プロダクト統括医師 島佑介

 
 
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photo:Thinkstock / Getty Images

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