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2016年は今のところ少ないとはいえ、例年は7月から増加し始め、8月、9月にピークを迎える台風の発生件数。特に8月から9月にかけては季節の移り変わりも重なって気温、気圧の変化が激しく、体調も崩しがちになります。そんな季節は「何だか身体がだるい…」「よく眠れなくて睡眠不足かも…」と感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、気候の変動による不調をすっきりさせる方法について、漢方やカウンセリングなどによる自然療法に取り組む、しらいし自然療術院の白石ゆうじ先生に伺いました。

頭痛、むくみ、睡眠不足…原因は「気象病」かも!?

天候が悪いとき、頭痛やだるさを感じたり、なぜかネガティブな気持ちが強くなったりすることはありませんか? 検査を受けても特に異常がないという場合、もしかしたら「気象病」と呼ばれる症状の可能性があります。
 
白石先生によると、気象病とは気圧や気温など、天候の変化によって起こる心身の不調のことで、以下のような症状が現れるそう。
 
・頭が重く、頭痛がする
・めまいや耳鳴りがする
・手足がむくむ
・関節が痛む
・消化不良
・便秘や下痢気味になる
・だるく倦怠感があり、やる気が出ない
・気分が落ち込む
・睡眠不足、眠れない、眠りが浅い
 
症状の出方は人それぞれ、不調になる部位もさまざまで全身に現れる可能性があります。症状がひどい人の場合は、うつ症状が現れたり、不眠になってしまったりすることもあるのだといいます。

気候の変化で体調が悪くなるのはどうして?

では、気温や気圧の変化が、なぜさまざまな不調を引き起こすのでしょうか。白石先生によれば、体内で以下のような変化が起こるといいます。
 
●血流やリンパの流れが悪くなる
「山の上にスナック菓子の袋を持っていくと、気圧の変化で袋がパンパンに膨らみますよね。同じように、人間の身体も気圧が低くなると血管やリンパ管が膨張し、血流が悪くなります。すると、膨張した血管が頭蓋骨や脳を圧迫して頭痛が起こったり、低血圧になってめまいやだるさが出たりします」(白石先生)
 
●いつもより酸素が不足する
「低気圧になると気流が上昇し、地上の酸素濃度は若干ですが薄くなります。そのため、自律神経の乱れを招き、頭痛や睡眠不足などによる体調不良が現れやすいのです」(白石先生)
 
●体内の水分の調節がうまくいかなくなる
「秋雨や台風などで降雨量が増えると、湿度が高くなります。湿度が高いと、実は人間の身体はスポンジのように水分を吸って重くなり、身体のだるさ、むくむなどの症状が出てくるのです」(白石先生)
 
こうした変化によって身体のバランスが崩れることで、体調の悪化、睡眠不足や不眠症などが現れます。台風の夜はなかなか寝つけない…という人は、これら気候の変化による影響を受けているのかもしれません。

気象病での睡眠不足、体調不良に悩む人は不眠にもなりやすい!?

台風の到来や気候の変化は避けられませんが、気象病になりやすい人とは、どんなタイプなのでしょうか。
 
「気象病で身体に不調を感じやすい人は、心配症だったり、真面目で頑張りすぎてしまうような性格の人が多いですね」と白石先生。これは、不眠症の人に多い特徴と共通しています。
 
「気候による体調の変化は、多かれ少なかれ誰にでもあること。しかし、気象病になる人はそれを敏感に感じ取り、天気が悪いと体調も悪くなると思い込んでいることが多く、気分が落ち込みがち。ちょっとした体調の変化にも敏感になってしまうことでパフォーマンスも悪化します。自己嫌悪でさらに落ち込み、睡眠不足を感じたり不眠症になってしまうという負のスパイラルに陥っていきます。すると、余計に症状が悪化していくんですね」(白石先生)
 
「寝なければ」というストレスから始まる不眠のスパイラルも、例えば眠れないことで不安になるあまり、時計を気にしすぎてさらに眠れなくなってしまうなど、気象病悪化のスパイラルとほぼ同じ。そのため、元々うつや睡眠不足気味だった人は、気象病によってそれらの症状を悪化させてしまうことも考えられるのだそう。
 
「健康な人でも気象の影響を受けるので、思い当たる節があれば、『体調が悪いのは自分だけではないこと』『この機会に自分の体質や心に向き合うことが大切だということ』に気づく機会にされるといいと思います」(白石先生)

どうしても気になる人は、不調や不安と向き合うことも大切

気象病も不眠も、目に見えるケガと違って本人にしか分からない症状がほとんどのため、周りから「やる気が足りない」「怠けている」と思われがち。体調不良を訴えてもなかなか理解されず、悩んでうつ病に発展してしまうこともあるとか。
 
「『嫌なことは考えないようにしよう』と思うと、余計に考えてしまい逆効果ですので、そういった方は時間を決めて真剣に考えてみましょう。すると『そこまで気にすることじゃないかな』という気持ちになってくるものです」(白石先生)
 
悩みや症状から目を背けるより、自分の不調や不安と向き合うことが、短期間での改善には必要だそう。具体的に悩み事と向き合う時のポイントは、以下の通りと白石先生。
 
・考えたくないのに考えてしまうときは、あえて1時間と決めて真剣に考え、紙に「気づいたこと」を書き出す(途中で「もういいや」と思ったらあと5分だけ頑張って考えれば、逆に考えるのが嫌になってきます)
 
・嫌で辛いことには「嫌で辛い!」と言葉に出して100回言ってみる(「もう言うのもいいや」と思うまで徹底的に)
 
「多くの方は必要以上に『しっかりしなきゃ』『症状が出るのはよくないことなんだ』『そんな自分が情けない』という固定概念によって『症状が許せない』『症状が出ることが誰かに迷惑をかけたり、パフォーマンスが出せない自分が許せない』という内圧のプレッシャーを強く感じています。本当にそこまでプレッシャーをかけないといけないのでしょうか? 本当にそれは悪いことなのでしょうか? 気象病は、その疑問を自分に投げかける良いチャンスかもしれません」(白石先生)
 
日本には「晴耕雨読」という言葉があります。昔は晴れたら畑を耕し、雨が降ると休んで本を読むという、天候に合わせたライフスタイルで暮らしていました。
 
「気象病は、天候がどうあれ『あれをやらなきゃ』『こうしなきゃいけない』と、気象に逆らってでも活動していかなければならない時代であるからこそ、出てきている問題だと思います」(白石先生)
 
気象病による体調悪化や睡眠不足も、誰でもなり得る可能性があります。不安を感じたら、症状や悩み事と向き合ってみて、それでも良くならない場合は無理をせず、医療機関へ相談に行きましょう
 
監修:白石ゆうじ(しらいし自然療術院 院長)
 
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photo:Thinkstock / Getty Images

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