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「睡眠不足は身体に悪い」…睡眠の大切さは毎日のように情報番組などのメディアで取り上げられ、一般的に広く知られるようになりました。「睡眠不足だと体内時計が乱れる」「睡眠不足だと太る」「睡眠はダイエットに効果的」などはよく耳にする話ですが、睡眠はどのようなメカニズムで身体の代謝に影響を及ぼすのかご存知でしょうか? 実は、代謝には睡眠と遺伝子が深く関わりあっているようなのです。それを裏付ける研究結果が報告されています。

睡眠6時間以下の人は、遺伝子の働きが鈍っている可能性大!

 

2013年、イギリスのサリー大学研究チームが睡眠中の遺伝子の活動について研究を行いました。

その研究内容は、26人の男女を集め、睡眠時間を毎晩6時間以下(平均5.7時間)のグループと10時間以上(平均8.5時間)のグループに分け、各グループその睡眠時間で眠る生活を1週間継続してもらうというもの。そしてこの研究期間中には、被験者の血液サンプルを採取して遺伝子の変化を見比べました。その結果、睡眠時間が6時間以下のグループは、遺伝子の3.1%にあたる444個の活動が抑えられており、中でも睡眠に関わる遺伝子が最も抑制されていました

 

また、睡眠を一定に保つ働きを担っている遺伝子や、時計遺伝子といわれる『概日リズム』に関連する遺伝子の働きも低下していたのです。概日リズムとは、いわゆる体内時計のこと。この体内時計の乱れが長期間続くと、がんや糖尿病などのリスクが高まるとも言われています。寝不足によって、身体を健康に保つ遺伝子たちの働きが抑制されてしまいますので、睡眠不足の生活が続くのは避けたいですね。(※1)

 

睡眠不足だと不必要に食欲が増し、ダイエットの妨げに!

 

ダイエット中の方は特に、食生活とあわせて睡眠習慣にも注意しましょう。睡眠不足によるデメリットとして、肥満やメタボリックシンドロームに陥るリスクが高まることが挙げられますが、実は、食べ過ぎや代謝障害を引き起こすメカニズムにも、遺伝子が関わっているのです。

 

Current Biology誌に食欲と遺伝子の関係を調査した研究結果が掲載されました。それは、お腹が空くと、エサを探して見つかるまで眠らないというミバエを使って、食餌行動や睡眠サイクル、血糖値などを測定し、どの遺伝子が睡眠周期に影響するかを観察するというもの。研究チームはエサを探す間、空腹のミバエを覚醒させておく遺伝子を特定するため12,000個ほどの遺伝子をスクリーニングしました。

その結果、『translin』というミバエを覚醒状態に保つ遺伝子が発見され、このtranslin が欠損しているミバエは、空腹状態であっても満腹時と同じように安眠することがわかりました。つまり、食欲と睡眠は遺伝子的にも関連しているということなのです。(※2)

 

睡眠不足によって不必要に食欲が増すと、ダイエットの効果が出ないばかりか、メタボリックシンドロームや高血圧、糖尿病、動脈硬化のリスクが高まります。不眠は万病の元になりますので注意しましょう。

 

こうした実験結果を受けて研究者たちは、「これらのデータは、代謝問題の治療に大いに役立つだろう」と今後の研究に期待を寄せているようです。しかし、治療が必要になる前に病気は予防しておきたいもの。そのためには、たかが寝不足だと軽く考えず、食事や運動とともに睡眠習慣も見直しましょう。

 

参考

Mirror/Long sleep is bad for your because it switches on genes that damage us/

International Business Times/Sleep deprivation: Single gene explains why lack of sleep leads to increased appetite/

 

論文出典

※1 Carla S.Moller-Levet,et.al; PNAS, vol. 110 no.12

※2 Maria E. Yurgel,et.al; Current Biology; vol. 26, Issue 7, p972-980

photo:Thinkstock / Getty Images

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