8時間睡眠は快眠ではない!? うつ病を招く寝すぎ習慣をやめて最適睡眠時間を知る方法

 

1日8時間が理想の睡眠時間と思っていませんか? 実はこの説には根拠がないと語るのが、『8時間睡眠のウソ。』の著者である、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・部長の三島和夫先生。今回は、必要な睡眠時間と寝すぎの弊害について伺いました。


8時間睡眠は寝すぎだった!?

 

世間では常識とされている「理想の睡眠時間は8時間」という説。実はそう思いこんでいる人が多いだけで、「これには何の根拠もありません」と三島先生。実験室で脳波を測定して得たデータによれば、8時間眠るのは平均して15歳くらいまでで、人は年齢を重ねれば、必要な睡眠時間は減っていくものだといいます。

 

「必要な睡眠時間は個人差が大きく、性別、年齢、基礎代謝量、精神的・身体的疲労度など複合的な要素で決まってくるものなので、身長を測るように簡単に測れるものではないんです。ただ、研究結果によれば、30代で平均約7時間、50代になれば7時間以下という統計データが出ています」(三島先生)

 

寝すぎが招く、思わぬ危険性とは

 

つまり、大人ならば8時間も眠る必要がない人が過半数になるということ。でも、「時間さえあるならいつまででも眠っていたい」「いっぱい寝たほうが健康的」と思う人も多いのでは?
ところが、三島先生によれば、「寝すぎにも弊害があります」とのこと。なんと、睡眠時間が長い人の中に抑うつ状態の人が多いことが、これまでの研究で分かっているそうです。さらに、寝すぎることが直接的に心身の不調を引き起こしているケースもあるのだとか。
うつ病になると不眠になる場合もあれば、過眠になる場合もあります。薬物などで過剰に睡眠をとることで気分の改善が妨げられる場合もあります。また、何かしらの病気が原因で睡眠の質が低下し、寝不足を解消しようとして寝すぎている場合もあります。寝すぎにはメンタル面、フィジカル面の問題が隠れている可能性がありますので要注意です」(三島先生)
ただし、ウィークデーにたまった睡眠不足を解消するために、休日にいつもより多めに眠るのは問題ないそう。ただし、だらだらと昼すぎまで眠るのは、睡眠リズムを狂わせてしまうのでNG。朝きちんと時間通りに起きた後、午前中に昼寝(仮眠)をする「良い二度寝」なら、睡眠リズムを崩さないので、寝すぎの弊害を避けることができるそうです。
「睡眠のリズムを整えることは大切なことです。朝、日の光が網膜を通じて脳内の体内時計を刺激することで、睡眠をはじめとする生体リズムがリセットされます。可能であれば寝る時は寝室のカーテンを開けっ放しにして、夜明けとともに日の光が自然に入ってくるようにするといいでしょう」(三島先生)

 

自分に必要な睡眠時間を知ろう

 

寝すぎの弊害がわかったところで、やはり気になるのが、自分に必要な1日の睡眠時間をどうやって知ればいいのかということ。自分で計る方法はあるのでしょうか?

 

「ゴールデンウィークや夏休み、年末年始の長期休暇など、朝、出社・通学するために起きる必要のない日が5、6日ぐらい続く時がチャンスです。目覚ましをかけず部屋のカーテンも閉めっぱなしにして、自然に目が覚める時間に起き、何時間眠ったかを計ってみてください。最初の1、2日は日頃の睡眠不足を解消しようとして睡眠時間がとても長くなりますが、4、5日かけて自分にとって必要な睡眠時間に徐々に落ち着いてきます。なかなかそのような機会には恵まれませんが(笑)」(三島先生)

 

「1日8時間、寝なければ!」と焦る必要がないことがわかって一安心。快適な睡眠ライフのために、自分に最適な睡眠時間を見つけて、日々の睡眠リズムを整えていきましょう。

 

監修:三島和夫(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・部長)

 

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photo:Thinkstock / Getty Images

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