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寒い季節はいくら寝ても寝足りないし、なんだか気分も落ち込みがち…もしかして、これってうつ病? でも、うつ病の場合は「眠れなくなる」と聞くけれど…そんな自覚症状が出たら、疑ってみたほうがいいのが「冬季うつ病」。うつ病の一種でありながら、症状の現れ方に違いがあるのが特徴です。

早稲田大学人間科学学術院助教・岡島義先生に詳しく伺いました。

寒い季節に現れる「冬季うつ病」。一般的なうつ病との違いは?

 

医学的には「季節性感情障害」と呼ばれる「冬季うつ病」。その名の通り秋から冬の季節に発症することが特徴です。うつ病の亜型ともいわれる気分症の一種ですが、症状の現れ方にうつ病とは異なる点があるといいます。

まずは、冬季うつ病の代表的な症状をご紹介。以下の症状に心あたりがあったら、冬季うつ病の可能性があるかも…?

 

<冬季うつ病の代表的な症状>

秋冬になると…

過眠気味になる。

炭水化物や甘いものが無性に食べたくなる。

気分が落ち込むが、春になると元気になる。

 

「一般的なうつ病の場合は約9割の患者が不眠を訴えますが、「冬季うつ病」の場合は過眠傾向になることが特徴です。また、一般的なうつ病は食欲低下または過食のどちらかに別れるのに対し、冬季うつ病は過食の症状(起床困難,午睡の多さ)がほとんどです。気分の落ち込み、意欲の低下は一般的なうつ病の症状と同様ですが、春になると比較的元気になるのも特徴です」(岡島先生)

 

そんな冬季うつ病の原因は、“日照時間”に関係しているといいます。

 

「冬季うつ病の主な原因は、冬は日照時間が短いため睡眠が後ろ倒しになり、リズムが乱れてしまうことです。そのため、緯度が高く日照時間が短い地域に住んでいる人ほど発症率が高いのです。症状の過眠・食欲増進は身体の防衛本能のためと考えられています」(岡島先生)

 

ただ、「うつ病と違って、春になれば治るから大丈夫」と軽く考えてしまうのはNG

 

「一度冬季うつ病にかかると毎年発症するようになるケースがあります。落ち込みがひどくなると、うつ病同様、最悪の場合自殺に追い込まれてしまうことも。さらに冬季うつ病とは別に、うつ病を独立して発症することも少なくありません。早めの対策が必要です」(岡島先生)

冬は特に太陽の明るさを感じて、気分転換を

 

冬季うつ病の可能性を感じたら、どのような対処をすればいいのでしょうか?

 

「最も有効な対策は『光』を活用することです。朝日の明るさをたっぷり感じることで、体内時計を構成するサーカディアンリズム(太陽の光によって左右される睡眠リズム)が調整され、睡眠時間を整えることができます。一方、抑うつ気分を解消するためには、朝に限らずに日中にしっかりと太陽の強い光を感じるようにしましょう」(岡島先生)

 

「家の中でも電気の光を感じれば同じなのでは?」と思ってしまいますが、蛍光灯の光やパソコン画面などの光は弱く、日光の代わりにはならないので注意。曇りの日でもなるべく外に出るようにしましょう。

特に睡眠時間を調整するためには、起きて2時間以内に1時間程度太陽の明るさを感じるのがおすすめだそう。

 

「できれば本格的な冬に入る前の秋口から行うのがおすすめです。1週間ほど続けると効果が見えてくるので、継続して行いましょう。ただし、効果を感じても止めてしまうとうつ状態に戻ってしまうので、冬の間は続けることが大事です」(岡島先生)

 

もうひとつ、難易度は高いかもしれませんが有効な手段が、「今住んでいる場所を離れ、日照時間が長い南の地域に1週間ほど滞在すること」なのだとか。

 

「日照時間が長い南の地域に1週間ほど滞在すると、自動的に体内リズムが整い、気分転換にもなるので、戻ってもしばらくは調子がよい状態が続く場合があります」(岡島先生)

 

上記のような方法を試しても改善が見られず、本格的な症状を感じたら、早めに医療機関へ。冬季うつ病の治療は強い光を当てる「高照度光療法」を行うのが一般的だそうです。

 

冬季うつ病の改善のカギは、太陽の光を感じること。寒いから…と暖かい室内に引きこもってばかりいないで戸外で元気に過ごすのが、冬を乗り切る秘訣のようです。

 

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