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妊娠してから毎日やたらと眠い…という妊婦さんもいるのではないでしょうか。「でも、まだお腹も目立たないし」と眠気を我慢して、妊娠前と同じようにがんばってしまっている人は要注意。睡眠は赤ちゃんが健やかに育つために必要で、その眠気はお母さんの身体を休めるよう身体が発している信号なのだそう。
東邦大学医学部産科婦人科学講座教授の片桐由起子先生に、妊娠期の睡眠についてうかがいました。

身体を休めて胎児を守ろうとする妊娠前期

 

片桐先生によると、妊娠中の眠気が通常と異なるのは、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という2つの大量に分泌される女性ホルモンのバランスが、非妊娠時から変化するからだそう。

 

「2つのホルモンの分泌量は妊娠後期までどちらも増え続けていきますが、妊娠前期(2~4ヵ月)は黄体ホルモンがより多量に分泌されることで、過眠傾向になります逆に卵胞ホルモンが黄体ホルモンよりもたくさん分泌される妊娠後期(8~10ヵ月)は、不眠傾向になることが多いとされています」(片桐先生)

 

母体にそんな現象が起こるのは、お腹の胎児を守るための身体の本能なのです。

 

「受精した卵子が子宮内膜に着床することで『妊娠』が成立しますが、着床させるためには身体をリラックスした状態に保っておく必要があります。また、無事に着床しても胎盤が完成されていない妊娠5ヵ月目まではできるだけ体を安静にし、胎児が育つ環境を安定させておかなければなりません。そのためホルモンの影響で母体が睡眠欲求を感じるよう仕組まれているのだと考えられています」(片桐先生)

 

胎児を守る意味でも、妊娠前期はなるべく身体の欲求にしたがってゆったり過ごすことがおすすめだそうです。

 

「身体に無理のかかる生活をしていると、黄体ホルモンの分泌の妨げになり、流産につながってしまうこともないとはいいきれません。必ずしも睡眠をとることにこだわる必要はありませんが、妊娠前期は『身体を休める』ことを重視し、仕事が忙しい人もなるべくこまめに休憩するなど心がけてみてください」(片桐先生)

 

ただし、「無理をし過ぎない生活スタイルを守れば問題ない」そう。過度に気にすることがストレスにつながってしまっては本末転倒なので、適度な心がけを!

 

動くことでしっかりと産道がつくられる妊娠後期

 

妊娠前期とは違い、妊娠後期は卵胞ホルモンが黄体ホルモンよりもさかんに分泌されるため、不眠傾向になる妊婦さんも多いといいます。

 

「胎盤が安定する妊娠後期は、日常的に動くことで赤ちゃんを産むための産道がしっかりとつくられるので、妊娠初期のような眠気を感じることはなくなり、積極的に体を動かすよう覚醒する時間が長くなると考えられます。ただし、夜に長時間寝ていられなくなるのは卵胞ホルモンの影響だけに限らず、大きくなったお腹で寝づらい、膀胱が圧迫されるのでトイレが近くなる…などの物理的な影響もあります」(片桐先生)

 

お腹が大きいと動くのがおっくうになりますが、お産を軽くするためにも昼間は積極的に動いた方がいいそう。夜は眠れないと焦ってしまいますが、「部屋を暗くして横になっているだけでもOK」とのこと。

 

無理に眠ろうと、焦らなくても大丈夫です。睡眠をとることよりも、身体が休息できているかどうかを重視しましょう。また、お腹とともに体型も変わってきます。身体の凹凸がベッドに合わず寝づらさを感じるときは、クッションや専用の枕などをあてがい、体勢を安定させるのもおすすめです」(片桐先生)

 

妊婦さんが適切な睡眠スタイルを守るためには、周囲の理解も欠かせません。家族や友人をはじめ、職場に妊婦さんがいる人も、ぜひさりげない気づかいを!

 

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