口呼吸は、口臭の原因のひとつです。特に、睡眠時に上手く鼻呼吸できず、口呼吸をしてしまう方は多いのでは?今回は、なぜ口呼吸が口臭につながってしまうのか、睡眠中の口呼吸を改善する方法にはどんなものがあるのかなどをご紹介していきます。

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口呼吸による口臭レベルは、重度の歯周病以上!?

 

なぜ、睡眠時の口呼吸が口臭につながってしまうのでしょうか?

 

「口を開けて息をすることで、口だけでなく、のども乾燥してしまうことが原因」と話してくれたのは、睡眠歯科クリニックの片平治人先生。

 

「咽頭が乾燥することで、のどにある『ワルダイエル咽頭リンパ輪』という扁桃組織が炎症を起こしてしまうのです。炎症によってリンパ輪の機能が正常に働かなくなると、口・のどに細菌が繁殖し、腐敗ガスが発生して、『口臭』となってしまいます。そればかりではなく、身体の免疫反応にも支障が生じ、アレルギー疾患の原因になることもあります」(片平先生)

 

腐敗臭を発生させるのどの「ワルダイエル咽頭リンパ輪」の表面積は、なんと畳12畳分の広さにもなるとか。その他の口臭の主な原因である「歯周病」が全体的に重度であった場合でも、発生する全ての「歯周ポケット」の表面積はせいぜい手のひら程度なので、圧倒的な広さです。

 

「ただし、自分で臭いを気にしている人は、さほど深刻ではない場合が多いです。口臭は、ひどくなればなるほど、自分では気づきにくいという傾向があります」(片平先生)

 

口から腐敗臭を放っているのに自分では気づけないなんて…! なんとか自己判断する方法はないのでしょうか?

 

「朝起きたときの口の状態を気にしてみてください。口から喉にかけてカラカラに乾いていたり、ねばついたりしている場合、寝ている間に口呼吸をしている可能性が高いです」

 

実は口臭より怖い!? 口呼吸が招く病気

 

さらに口呼吸の弊害は、口臭だけにとどまらないといいます。

 

「口呼吸は、睡眠障害にもつながってしまいます。スムーズな入眠には脳の深部体温を下げる必要があり、鼻呼吸は脳の冷却という重要な役割を担っています。ところが口呼吸となってしまうと、スムーズな入眠を妨げる上に、睡眠中は脳波上の覚醒が増えることで睡眠自体が浅くなってしまうのです。また、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の原因にもなり、更に睡眠が妨げられる恐れがあります」(片平先生)

 

そんな睡眠時の口呼吸を続けていると、思わぬ病気を招いてしまうことも…。

 

口呼吸で口の中がいつも乾燥状態にあると、唾液の自浄作用が損なわれて細菌が繁殖し、不潔な状態になります。また口の中が呼吸路になるために舌が上顎から離れて低位になることから嚥下(飲み込み)が下手になる方がいらっしゃいます。嚥下がうまくできなくなると睡眠中などに不潔な口内の唾液が吸引され、それが肺に入ってしまう危険(誤嚥)が生じやすくなります」(片平先生)

 

その結果、肺が炎症を起こし「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」という病気につながってしまうのだとか…。

 

「特に気をつけなければいけないのが、高齢者。高齢者が誤嚥性肺炎を発症すると、重篤化してしまい、最悪の場合死につながることもあります」

 

口呼吸を改善するには

 

そんな口呼吸の治療は、どのように行われるのでしょうか。

 

「普段、寝るときに口呼吸をしている患者さんの中には、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)も発症している場合があります。軽症から中等症の場合、マウスピース治療が対症療法の1つです。マウスピースを装着することで開口を制限し、鼻呼吸を促すことが期待できます」(片平先生)

 

片平先生によると、口呼吸をしてしまう原因は一概にいえず、鼻の疾患や加齢による口周りの筋力の低下、舌小帯(舌の下にあるすじ)の異常、姿勢やメンタル面の問題…など、さまざまな原因が考えられるので、根本治療のためには、その原因が何であるかをつきとめ、改善していくことが重要とのこと。

 

口臭やアレルギーのリスクだけでも恐ろしいのに、睡眠障害や睡眠時無呼吸症、肺炎から死に至る可能性もある「口呼吸」。放置しないでしっかりチェックしておきたいですね。

 

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監修:片平治人(片平歯科クリニック 院長)

 

photo:Thinkstock / Getty Images

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