「お酒は眠りの大敵」とは、既によく知られたこと。アルコールに含まれる利尿作用や興奮作用により、睡眠の質は確実に下がると言われています。しかし2014年、『日本酒に含まれる“清酒酵母”と呼ばれる物質に、睡眠の質を高める効果がある』という驚きの研究結果が発表され、話題になりました。
飲み会が続きがちな、この季節の救世主になるかも? この研究に携わった先生に、清酒酵母の特徴や睡眠への影響などお話を伺いました!

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眠りの質を上げると実証された物質とは?

 

お話を伺ったのは、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の裏出良博先生。裏出先生によると、“ある物質”とは、日本酒づくりに欠かせない「清酒酵母」とのこと。清酒酵母を摂取した人の睡眠中の脳波を測定する実験で、以下のような結果が得られたそうです。

 

・ 清酒酵母を摂取していないときと比べて、10〜20%程度睡眠が深くなった
・ 深い眠りに入っている際に分泌される成長ホルモンが、通常よりも約30%増加していた

 

このような効果が出たのは、「清酒酵母が、“アデノシンA2a受容体”という、睡眠を誘発する(スイッチをいれる)脳内物質を活性化させるため」と語る裏出先生。
酵母の種類は数多くあれど、睡眠の質を高めてくれるのは清酒酵母だけなのだそう。

 

甘口の日本酒がベスト? 清酒酵母のかしこい摂り方

 

裏出先生によると、日本酒にたくさんの種類があるように、清酒酵母にも種類があるそう。最も効果がある酵母、そして最適な摂取方法はどのようなものなのでしょうか。

 

「特に睡眠の質を上げてくれるのは、“6号酵母”という酵母です。青森県や石川県などにある、比較的古い酒蔵で使われることが多く、甘口の日本酒をつくる時に使われています」(裏出先生)

 

では、甘口の日本酒を飲めば、眠りの質はよくなるということなのでしょうか?

 

「清酒酵母は、日本酒そのものよりも、日本酒をつくった後にできる“酒粕”の方に多く含まれています。しかし、酒粕だけで睡眠の質を上げようとしたら、どんぶり一杯分くらいは食べないといけません。よく眠れるようになるかもしれませんが、確実に太ってしまうでしょうから、オススメはできませんね(笑)」(裏出先生)

 

なお、日本酒づくりで使われる清酒酵母は、日本酒の精製段階で多くが分解されてしまうそう。また、先述のようにアルコールは睡眠の質を下げてしまうので、日本酒を飲めば快眠を得られる…という訳ではないようです。残念…!

 

しかし、この清酒酵母の研究は、サプリメントの開発などに活かされており、すでに商品化もされているのだそう。飲み会が続いてついつい寝不足になりやすい季節なので、睡眠の質を上げる物質があることは、覚えておいて損はなさそうですね。

 
 

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監修:裏出良博(国立大学法人筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構)

photo:Thinkstock / Getty Images

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