酸素の薄さがエベレスト山頂と同じ!? 睡眠時無呼吸症候群の人の身体で起こること

 

毎晩眠るたびに、高血圧や糖尿病、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まる…。そんな恐ろしい病が、身近にあることをご存知ですか?

 

その病とは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)。現在、日本で治療を行っているのは約20万人ほどだそうですが、潜在的な患者は200〜300万人にも上るそう。もはやSASは人ごとではありません。そこで今回、睡眠時無呼吸症候群に関する著書を多数発表しているRESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックの院長 白濱龍太郎先生に、その実態についてお話を伺いました。

低酸素状態で全力疾走しているのと同じ負荷!?

 

「SASとは、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)や、呼吸が弱くなっている状態(低呼吸)が1時間に5回以上あり、日中の眠気や頭痛などの症状を伴っている病気のことを指します」と、白濱先生。日本ではまだ社会的認知が低く、その症状がわかりにくいことから、SASによる不調を感じても「疲れているから」「働きすぎだから」と、その症状を自己完結して放置しまっている人が多いそう。

 

「SASは、いびきの延長線上にあります。いびきをかく人の半分以上は、無呼吸や低呼吸を伴っていると考えられるので、自分にもその可能性があると認識した方がよいと思います。SASの場合、無呼吸の状態から呼吸が再開するときに大きないびきが起こりますので、まずはいびきをバロメーターにしてみてはいかがでしょうか」(白濱先生)

 

SASになると日常生活に大きな支障をきたしてしまうようです。
「重症な場合、睡眠時の血中酸素濃度が、エベレスト山頂にいるのと同等かそれ以下の60%にまで下がることがあります。脳はそんな異常な低酸素状態から抜け出そうと、交感神経を必死に働かせて、脈拍を早めて血圧を急上昇させますが、これは一晩中全力疾走しているような状態。身体中の臓器に大きな負担をかけているのです」(白濱先生)

あの病気も睡眠時無呼吸症候群が原因!?

 

SASが最も厄介なのは、さまざまな合併症を引き起こす怖れがあるということ。

 

「SASをきっかけに睡眠不足状態になると、血管がフル稼働し続けて、裂けたり、破れたり…とボロボロになっていきます。その結果、全身の動脈硬化が起こり、高血圧はもちろん、心臓なら狭心症、心筋梗塞、脳なら脳梗塞や脳出血といった、命に関わる合併症を患う可能性もあります。特に30〜50代の方は、加齢で血管が硬くなりやすいうえに、ストレスや酒量の増加、太りやすい体質になりやすいため、注意してほしいですね」(白濱先生)

 

SASだからといって、すべての症状が出るわけではないものの、無呼吸の回数が多くなればなるほど、合併症のリスクは高くなるそう。
また、一般的にSASとは空気の通り道が狭くなって起こる閉塞性のSASを表しますが、循環器系を患っている方の場合、頻度は多くはありませんが中枢性のSASを誘発する可能性もあるため注意が必要とのこと。では、自分にその疑いがあるときは、具体的にどのような対策をとればよいのでしょうか?

 

「SASを直接的に治療するだけではなく、まずは適度な運動の実践や食生活の改善など、普段の生活を見直して、睡眠の質を低下させないことに注力するとよいかもしれません。バリバリ働いているビジネスパーソンは、どうしても生活が不規則になりがち。そうなると必然的に睡眠の質が悪化して、SASの発症リスクが高まってしまいます」(白濱先生)

 

普段の生活を改善しても、いびきの症状がひどく、SASが疑われるようであれば、すぐに睡眠外来を受診するのが賢明かも。近くに睡眠外来が無い場合、内科(呼吸器・循環器)や耳鼻咽喉科で診ている病院もあります。
「自分は大丈夫!」と楽観視せずに、できるだけ早くリスクを解消したいですね。

 

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睡眠時無呼吸症候群

 

監修:白濱龍太郎(RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック)

photo:Thinkstock / Getty Images

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