プロフィール

yamamoto
山本然念
バッドトリップな日常のつけを夜毎支払う小説家フミナー
巧妙な眠気の逃げっぷりに憤りと涙を覚える、やけっぱちな自称小説家、23歳。午前3時が眠りのデッドラインなのに、簡単に越えてしまうので常にヘロヘロ。スリーピーフォローミー!!

マイ不眠DATA

  • 80
  • 4
  • ●●●タイプ

 

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2015年10月31日、世間がハロウィンで浮かれるなか、俺はたぶん誰より浮かれていた。そして、たぶん誰よりも快眠できた。

 

その日、俺は岡村靖幸のライブツアー「2015 FALL~WINTER TOUR『愛の意味』」に来ていた。俺はいつも、はばかりながら彼を「靖幸(やすゆき)」と呼んでいるのだが、それくらい好きで、靖幸のライブを観るのがもはや生き甲斐になっている。

 

ライブでは、ファンクなサウンドと、めちゃ真似しちゃいたくなるようなキレッキレのダンスを、靖幸が約3時間惜しみなく振舞ってくれる。CDじゃ体験できない生の歌声とサウンド、そして脳に直接焼きつけられるダンスに俺は興奮していた。

 

もちろん、俺に付きまとい、ある意味一心同体の[フミン]も一緒に観ていた。[フミン]は、みるみる靖幸に魅了されてゆき、ライブの終盤には
「やべーー!! 岡村ちゃんちょーカッケー!!」
と叫んでいた。
俺は俺で、
「ウヒョー!! 靖幸ー!」
とシャウトが止まらない。

 

そんな俺がライブの中でたまらなく好きなコーナーがある。靖幸による、ピアノの弾き語りだ。
1人で出てきた靖幸が、毎回違う即興の弾き語りを披露してくれるのだが、今回はそれがもう、べらぼうに良かったのだ。
このツアーのタイトルは『愛の意味』。靖幸を愛してやまない俺だが、愛することの意味については考えたことがなかった。そんな俺に、靖幸は弾き語りでいとも簡単に愛の意味を教えてくれた

 

「君が彼氏や旦那といちゃいちゃしていても構わない。だからベイベ、ほんのちょっと、君が寝る0.000000000秒前にこの靖幸ちゃんのことを思い出してくれよ。そしてたぶん、それが愛の意味さ

 

舞い上がっているので記憶は正確ではないが、この弾き語りを聴いた瞬間に俺の中で何かがスッキリした。そして、横を見ると[フミン]も何かスッキリした表情になっていた。
熱狂のライブは無事に終了。2人とも満足してハロウィンの街を素通りして帰った。

 

その帰り道、
「ねぇ」
と、話しかけてくる[フミン]。
「なんだよー」
と返すと、
今日は寝かせてあげる
と言ってきた。

 

こんな珍しいことがあるのかと思っていたら、[フミン]はあれからずっとライブを思い出してニヤニヤしている。俺は不覚にもそんな[フミン]を可愛いと思ってしまった。
いつも俺の睡眠を妨害する、邪魔で仕方ない[フミン]のことが、何故だか心のどこかで愛おしいとまで思えた。

 

そして[フミン]とベッドに入り、寝る0.000000000秒前まで靖幸のことを考えていたら、スーッと心地よい眠りにつくことができた。いつもあんなに眠れない俺が、久しぶりに8時間も寝れたのだった。ビバ靖幸。

 

連載も今回で終わりだが、[フミン]は一向に消えてくれない。それどころか以前にも増して、「かまってほしい」とねだってくる

 

[フミン]:「今日はこの映画を観ようよー」
俺:「今日はホラーナイトにするの!」
[フミン]:「よし、私今決めたよ! 観たい映画全部観よ!!」
俺:「勘弁しろよ……」

 

けど困ったことに、俺は、こんな[フミン]との奇妙な共存生活が、意外と嫌いじゃないのかもしれない。

 

【前回の記事】肉を切らせて不眠を断つ!

 

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