プロフィール

yamamoto
山本然念
バッドトリップな日常のつけを夜毎支払う小説家フミナー
巧妙な眠気の逃げっぷりに憤りと涙を覚える、やけっぱちな自称小説家、23歳。午前3時が眠りのデッドラインなのに、簡単に越えてしまうので常にヘロヘロ。スリーピーフォローミー!!

マイ不眠DATA

  • 80
  • 4
  • ●●●タイプ

 

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映画には、不思議な効果がある。少なくとも俺はあると思っている。それは睡眠促進効果。映画は、眠りへと誘う装置になると思うのだ。誰にでも一度くらい、映画を観てたらウトウトして眠ってしまった経験があるだろう。

 

いま話題の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の前シリーズ、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』、それをまだ子どものときに映画館で観たのが、俺にとって初めての映画体験だった。

 

「うわ~、ライトセイバーかっこいい! めっちゃおもしろい!! 」

 

と、最初は興奮しながら観ていたはずだったが、実際は映画の中盤で爆睡。結局、最後までストーリーを堪能することができず、ほろ苦い映画デビューだったのを覚えている。しかし、今になって振り返ってみると、この経験は現在不眠で悩んでいる俺にとって、希望でしかない。「映画を観れば寝られるんだ!」と気づくことができたからだ。

 

…あれ、でも俺毎日映画観てんのに、なーんで眠れないんだろ? という疑問も出てきた。しかし、俺はこの疑問に対して、ある一つの仮説を立てた。

 

映画には、「眠れる映画」と「眠れない映画」があるのではないだろうか。これは単純に、その映画が面白いかどうかという違いではない。毎日映画館でバイトをし、寝る前に必ず1本は映画を観ている俺にはビビッと感じる。「面白いのにめちゃくちゃ眠くなる映画」はどこかに必ずあるに違いないのだ。

 

しかし、面白いのに眠くなるという都合のいい映画を探すのは一苦労だった。とりあえず、手始めに俺の大好きなマーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』を観てみたが、これは全然眠れなかった。ロバート・デニーロ演じる主人公は、不眠で眠れない夜のタクシードライバーの役。自分を見ているようで、観ていても一向に眠気が来ない。何より俺のイチオシの映画。ストーリー、カメラワーク、音楽、全てが完璧で、どうしたって興奮しちゃって目がギラギラしちゃうのだ。

 

そんな失敗にもめげず、そのほかにも、自分が好きな映画の中で、「面白いけど眠れる映画」を探しまくった。もちろん、そんな都合のいい映画はなかなか見つからない。そうこうしているうちにも俺の不眠の度合いは増し、辛く苦しい模索の日々が続いた。

 

…しかし、ついに!!

 

見つけたのだ。[フミン]の邪魔すらもろともせずに、俺が爆睡してしまう映画を。

 

それは、ミヒャエル・ハネケ監督の『カフカの城』

 

かの有名なフランツ・カフカ原作の『城』を映像化した作品。それを観るとなぜ眠れるのかという理由は分からない。でも、今のところ、この映画を4回観て、4回連続で爆睡することに成功している。

 

だいたいのあらすじはこうだ。
主人公の男はフリーの測量士。仕事を得るため、なんとかして城に行きたいのだけど、どうしてもその城にたどり着けない。そこへ行くため、城へパイプを持つあらゆる人間に取り入ろうとする主人公。しかし一向に城への道は見えず…。

 

この映画の終盤に、俺が必ず眠れるシーンがある。ベッドで上体を起こしながら喋る老人と、その話を黙って聞く主人公。抑揚のない口調で、まーったく城に行き着くきっかけになりそうもない話をずっと聞いているうちに、主人公はスクリーンの中でウトウトしてし始めてしまう

 

何度見ても、このシーンは必ず眠れる。老人の話は、前半、これがどうにか城へのチケットになるのではないかと思わせる。そのため、主人公も俺も真剣になって聞くのだが、実は、その話は老人のただの個人的な話で、城とはまったく無関係なのだ。しかし、いつどこに城へ行くチャンスが転がっているかわからないので、じっと聞くしかないという状況。

 

でもこれは……眠い!!!

 

主人公と自分がリンクするような感覚で、気づいたらスッと意識がなくなり、いつしか熟睡しているのだ。

 

こういう話をすると、「じゃあ、眠れなくて困っているなら『カフカの城』を毎晩観ればいいじゃん」と思うかもしれない。けれど、それは違う。俺は生粋の映画好き。まだまだ数え切れないほど観たい映画がいっぱいあるから、この映画だけを何回も観るということはできない。俺は結局、睡眠より映画を選んでしまう大バカ者なのだ。もしかしたら、俺の不眠は[フミン]のせいではなく、自業自得なのかもしれない。

 

◆ ◆ ◆

 

次回は肉を切らせて不眠を断ちたいと思います。

 

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【次回の記事】肉を切らせて不眠を断つ!

 

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。