プロフィール

narita
山本然念
バッドトリップな日常のつけを夜毎支払う小説家フミナー
巧妙な眠気の逃げっぷりに憤りと涙を覚える、やけっぱちな自称小説家、23歳。午前3時が眠りのデッドラインなのに、簡単に越えてしまうので常にヘロヘロ。スリーピーフォローミー!!

マイ不眠DATA

  • 80
  • 4
  • ●●●タイプ

 

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『これはもう、どう頑張っても寝れない!』と思ったとき、俺は外に出る。寝ることを諦め、夜の街を徘徊するのだ。外までは[フミン]も追ってこない。

 

この時期は、部屋を出るとめちゃ寒い。でもそれが良い。夜は静かで気分も晴れるし、白い息を吐くとモヤモヤとした“眠りたい”衝動がどこかへ消える。『今日も眠れなかった…』と、ズンと沈むような気分が晴れ、夜の散歩をトコトン楽しめる。そしていつしか、このまま眠らずに朝を迎えてバイトに行こうと決心できるのだ。

 

今日は、ぼんやりと家から中野を目指し、片道5キロくらいの旅に出ることにした。

 

トコトコ歩いていると、コンビニが見えてくる。コンビニには必ず立ち寄り、散歩のお供を買う。いつも決まって『ホットゆず』。ゼリーっぽい独特の口当たりがクセになっちゃうのだ。

 

『ホットゆず』で冷えた身体を温めながら、信号待ち。夜中にはいろんなハプニングがあり、今日は、街灯の光が届かない真横の暗闇から、ヌゥッとおじいちゃんが登場した。

 

「ビャーーー!!!!」

 

悲鳴を上げて飛び上がる俺。どうやら、このおじいちゃんも俺と同じ徘徊仲間のようだ。こういう怖い体験ができるのも深夜ならではの醍醐味。

 

信号が青になり、再び歩きはじめる。少し先に遅くまでやってるバーを発見して、客が何人いるか当てるゲームをするのも楽しい。今日は、予想より2人多かったようだ。

 

そんな風に散歩を楽しんでいるうちに、あっという間に中野に到着。深夜3時という遅い時刻にも関わらず、中野駅周辺には『まだこんなにいるのかよ』って思うぐらいに人がいる。眠れない人、起きていたい人、世の中にはいろいろな人がいるのだ。

 

ただ、この徘徊で出会うのは、人だけじゃない。帰り道のコースになっている公園は、いつもノラ猫の楽園だ。

 

『今日も猫がうじゃうじゃいるなー』なんて思いながら歩いていると、めずらしくヤケに太った猫が横たわっている。近づくと、

 

「キュエキュエビィィ?」

 

と怯えた声を出してちょっと退く猫。ん? よく見てみると、こりゃどうも猫じゃない。だんだんとシルエットがはっきりしてきて、気づいたそれは…。

 

タヌキ!
おそらく野生のタヌキであろう。
俺は初めて見るその身体の配色に感動しながら、近づいてみた。
すると、彼もちょっと近づいてきて、愛くるしい目をこっちに向けてくれる。

 

『あぁ、なんて可愛いんだ。もふもふしたい…!! 』

 

そう強く念じると、急にめっちゃ近くまで寄ってくる。俺の心が通じたのだろうか。しかし、ふと不安がよぎる。

 

『噛みつかれたらどうしよう、毒とかあんのかな…』

 

その瞬間、

 

「キュエキュエ!!」

 

タヌキは悲しそうに鳴いて、公園の茂みに向かって駆け抜けていった。俺はささいな恐怖によって、せっかくのタヌキとの絆を自ら捨ててしまったのだ。

 

そうこうしているうちに、夜が白け始める。ここで、俺は本当の恐怖に怯える。

 

「あ、朝日が来る、…来るぞ!」

 

朝日を浴びてしまったら、目が痛くて開けられなくなってしまう。夜中の暗がりをイキイキと生きてしまった俺にとって、刺すように前向きな光は、痛みと恐怖の対象でしかない。

 

小走りで家に帰る。徹夜明けの目が日ざしに焼かれる前になんとか部屋に帰ってこられたのは、本当に幸運だった。

 

…そんな危機もあるが、やっぱり夜の散歩は楽しい! しかしバイトをしていると、だいたい昼すぎくらいに、ドッと身体の疲れが出る。急に体重が2倍ぐらいに重くなったように感じて、全然動けなくなるのだ。

 

もう絶対に、夜中に外には出ないぞと決心する。でもやっぱり楽しい。その繰り返しなのだ。

 

◆ ◆ ◆

 

次回は、眠れない人間でも眠くなれる映画を紹介しようと思います。

 

【前回の記事】夢を見れば寝れる! のか?
【次回の記事】必ず眠れる魔法の映画
 

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。