プロフィール

narita
山本然念
バッドトリップな日常のつけを夜毎支払う小説家フミナー
巧妙な眠気の逃げっぷりに憤りと涙を覚える、やけっぱちな自称小説家、23歳。午前3時が眠りのデッドラインなのに、簡単に越えてしまうので常にヘロヘロ。スリーピーフォローミー!!

マイ不眠DATA

  • 80
  • 4
  • ●●●タイプ

 

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俺は寝ると必ず夢を見る。
夢を見たことだけを覚えていて、内容はほとんど思い出せない。けれど、たまにすごく面白い夢もあったりして、「小説のネタになるかもしれない」なんてことを考える。でも「面白い」ってことしか覚えてないから、やっぱり意味がない。

 

しかし、ここで大事なのは「寝ると必ず夢を見る」という部分。
…「寝ると夢を見る」なら、逆に「夢を見れば寝れる」のではないだろうか。つまり、夢を先に見れば、自然と眠りに落ちるのではないだろうか。

 

明日もバイトがあるのにもう午前2時。眠気は全くない。「睡魔からこんなにも嫌われているのかー! 」と、改めて感じるほど、眠れなくて焦っていた。焦りから来る俺のクレイジーな思考が、とうとう睡魔の訪問に頼らない睡眠法を見つけ出したような気がした。

 

スマホで調べた結果、夢とは「眠っている間に、現実にない事象の感覚を起こすこと」という意味らしい。つまり、現実にないことを俺が頭の中で考えれば、脳は騙され、いつの間にか夢となり、寝ているのと同じ状況になるんじゃないか?

 

このまま、ただ目をつむっていても眠りの世界には入れないのだから、もはや失うものはない。「どうにでもなれ!」と思いつつ、俺は夢を構築してみることにした。

 

〜ここからは俺が構築する夢〜

 

俺は街をキラキラと輝きながら歩いている。隣には、いつも安眠に導いてくれる、俺を寝かしつけるのが上手い美女。

 

「今日はハンバーグが食べたいな」

 

「豆腐を入れてヘルシーにしよ! そろそろ健康管理に気をつかわなきゃ」

 

なんて会話をしていると、商店街の向こうから見覚えのある顔がやってきた。[フミン]だ。俺は会釈をする。[フミン]はペコッと頭を下げ、そのまま通り過ぎた。ホッとしてスーパーに立ち寄る。

 

「ここのタイムセール、お肉とか豆腐とか、すっごく安くなるんだよね♪」と、家庭的な彼女が言う。ちょうどタイムセールの真っ最中で、ハンバーグの材料がどれも破格の安さ。

 

「いいタイミング! これでハンバーグいっぱい作って、たらふく食べて、今日もぐっすり眠ろうな!!」

 

俺は気分良くそう言った。すると突然、彼女が慌てはじめた。

 

「その言葉を言っちゃダメ!」

 

しかし、遅かったようだ。何やら不穏なオーラを背中に感じ、振り返ってみるとさっきすれ違った[フミン]がニヤニヤして立っていた。
「ヤバい!!」と思い、彼女の方を見ても、もうどこにもいない。それどころか彼女がいた場所には[フミン]がいた。振り返っても、背後に[フミン]。いつの間にかスーパーには[フミン]だらけになっていて、俺は慌ててスーパーから逃げ出す。

 

辺りを見渡すと、通行人も八百屋のおじさんも商店街はすべて[フミン]に占拠されていた。そして、アーケード街のタイルも、電柱も、コンビニの肉まんすら、どんどん[フミン]に変わっていく。

 

これじゃあ…
これじゃあ寝れない!!!

 

…目を開けると、[フミン]がニヤニヤして俺の顔を覗いていた。
「へぇ~! ハンバーグいいねえ。ハンバーグ作ろうよ」 ニヤニヤする[フミン]。どうやら[フミン]に夢を乗っ取られていたようだ。「夢を見ることで寝る」計画は、あっさりと失敗に終わった。

 

こいつが俺の周りから消えない限り、何をやっても安眠が訪れる気がしない。

 

◆ ◆ ◆

 

次回は、寝るのを諦めて外へ徘徊する日のことを書きます。

 

【前回の記事】睡魔がフィッシュオン
【次回の記事】朝まで徘徊録

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