プロフィール

narita
山本然念
バッドトリップな日常のつけを夜毎支払う小説家フミナー
巧妙な眠気の逃げっぷりに憤りと涙を覚える、やけっぱちな自称小説家、23歳。午前3時が眠りのデッドラインなのに、簡単に越えてしまうので常にヘロヘロ。スリーピーフォローミー!!

マイ不眠DATA

  • 80
  • 4
  • ●●●タイプ

 

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俺には理想の睡眠環境がある。その空間でなら、[フミン]の誘惑に負けることもなく快眠できると思う。

 

ちなみに、現在の俺の部屋はどこにでもある6畳一間。壁掛け時計の音も特にうるさくないし、ベッドは広めのセミダブルだから寝返りも自由に打てる。車の通りも少なく、夜は無音に近い。枕も、首が痛くならないよう高さを調節しているし、人並みぐらいの睡眠環境は整っているだろう。

 

ただ、この部屋には至るところに眠りを邪魔するトラップが仕掛けられている。[フミン]の仕業だ。
あいつは掛け時計に細工をし、深夜、俺が寝ようとしたときにだけ秒針を止める。一定のリズムで時を刻んでいてくれれば気にならなかったのに、秒針が止まり、音がしなくなったことで、逆に気になる。くやしいが、時計の存在を強烈に意識してしまう。

 

ただし、恐怖はここからだ。止まっていた秒針がおもむろに動きだす。しかも異常な速さで。秒針が最速ラップを叩き出すバケモノみたいに変身してしまうのだ。俺の目の前にはレース会場の光景が広がる。秒針と時針との闘い。

 

…これが電波時計の時差を調整する機能だとわかった今でも、もう眠れない。

 

しかし、このくらいは[フミン]の可愛いイタズラ。時計を捨てればどうにでもなる些細なことだ

 

本当の問題は、俺の体質。腕と脇腹、太ももと太ももなど、自分の身体の部位同士がくっついていると眠れないのだ。普段から5本指ソックスを履き、抱き枕を使い、なんとか身体と身体を引っぺがして眠ろうとしている。しかし、それでもまだ不十分で、寝つけないまま起床時刻の朝6時が迫ってくる。

 

「そんなんで眠れなくなるなんて、おかしくない?」

 

[フミン]が笑いをこらえている。

 

「いーや、ホントこれがキツいんだって。離れているはずの身体が1つのパーツになって、だんだん串ダンゴの気持ちに……」

 

「そんな体質じゃ、もう、一生眠れないかもね」

 

[フミン]の笑い声がワンルームに響く。

 

「そんなことはない! 俺だって、理想の睡眠環境が叶えば眠れるはずだ!」

 

そう、理想の睡眠環境さえ叶えられれば…! それは、宇宙

 

重力のない宇宙空間なら、身体のパーツを自由に開放して眠れる。指と指だって、脚と脚だって、くっつけなくていい。さらに時間の流れからも解放されるので、時計だって必要ないし、もちろん朝6時に起きる必要もない。どんなベッドより自由だ! 俺は宇宙を漂う快眠ガイになりたいんだー!!

 

「はいはい。いいから映画みよ」

 

俺の行き場のない宇宙への想いは受け止められず、結局今夜も[フミン]の言葉にのって映画を観る。
[フミン]が選んだのは、『ファイナル・デッドサーキット』と『ゼロ・グラビティ』。嫌味としか思えない。
『ファイナル・デッドサーキット』は、サーキット場でありえない大惨事が次々と巻き起こる、知る人ぞ知るホラー・サスペンス。『ゼロ・グラビティ』は、宇宙空間でこれまたありえない事故が次々と巻き起きるSF・サスペンスである。
『ゼロ・グラビティ』の中に広がる、無重力空間を眺めながら、いつかあの中で眠ってみたいと夢を見る。眠れないから、夢も見られないはずなのに。

 

◆ ◆ ◆

次回は夜のヌシ、睡魔フィッシュを釣りあげて、睡眠を勝ち取るお話をしようと思います。

 

【前回の記事】中学生のころから、[フミン]とお付き合いしています
【次回の記事】睡魔がフィッシュオン

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。