過眠症(ナルコレプシー)とは

仕事や学校などの日常生活に支障をきたすほど、日中強い眠気に襲われるというのが過眠症の一般的な症状です。これが1か月以上続くようなら、過眠症(ナルコレプシー)の可能性が高くなります
「ナルコ(narco)」はフランス語で「眠り」を、「レプシー(lepsy)」は「発作」を意味します。10~20代の発症が多く、13~16歳の思春期がピークとなります。男女差はなく、米国では2,000人に1人、日本では600人に1人が過眠症(ナルコレプシー)にかかるといわれています。

過眠症(ナルコレプシー)の症状

睡眠発作
自分の意志ではどうすることもできない強烈な眠気が襲ってきます。その強烈な眠気は「まるまる3日徹夜して、難しい数学の問題を解いているようだ」と表現されるほど耐え難い眠気といわれています。食事中はもちろん、歩いている途中でも眠り込んでしまうことがあり、いつ睡魔が襲ってくるかは予測がつきません。
「怠け者」とレッテルを貼られるなど、周囲から誤解を受けてしまうこともあります。

 

情動脱力発作(カタプレキシー)
強い感情的な刺激(笑う、怒る、泣くなど)が加わった興奮状態のときに、あごやまぶた、膝の力が抜けてしまい、ろれつがまわらなくなってしまいます。重度になると全身の力が抜けて、地面に倒れ込んでしまうこともあります。普段の生活シーンの中でも、驚いたり、腹を立てたりした場合にこの発作が起きることがあります。

 

睡眠麻痺
入眠時に全身が脱力状態になり、金縛りになることがあります。

 

入眠時幻覚
入眠時に幻聴や幻覚症状を起こすことがあります。実際に自分の身に起きているものと勘違いしてパニックに陥ったり、金縛りになったりすることもあります。

過眠症(ナルコレプシー)の原因

多くの場合は、遺伝だと考えられています。遺伝的な要因に、ストレスなどの環境的な要因が加わって発症するケースが多いとされています。
脳炎などの後遺症として起こることもあるようですが、詳しいことはわかっていません。

過眠症(ナルコレプシー)の対処法

終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)・反復睡眠潜時検査(MSLT)
終夜睡眠ポリグラフ検査とともに、翌日の反復睡眠潜時検査による診断が有効です。

 

– 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠の状態と、睡眠に関連した生体活動を評価します。脳派や眼球運動、心電図、筋電図、いびき、血中酸素飽和度など、測定できる項目は多岐に渡ります。

– 反復睡眠潜時検査(MSLT)
PSGの翌朝からMSLTをセットで行い、日中の眠気の程度やレム睡眠の出現の有無を評価します。2時間毎に、5回睡眠潜時(眠るまでの時間)や入眠する様子を記録し、過眠症状をきたす病態を調べます。

 

ヒト白血球抗原(HLA)検査・髄液オレキシン検査
遺伝的な関連を判定できます。
ヒト白血球抗原(HLA)検査ので「DQB1*0602」が陽性と出れば、遺伝的要因によるものと考えられます。
また、髄液オレキシン検査で正常値の最低ラインより低ければ、過眠症の可能性がかなり高くなります。

過眠症(ナルコレプシー)の治療法

現代の医学では、過眠症の完治は難しいといわれています。しかし、きちんと治療をすることで、症状を改善することは可能です。
また、夜間に十分な睡眠をとるなど、規則正しい生活を心がけることでも症状をかなりやわらげることができます。

 

参考図書:

『睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)』(医学書院)発行:日本睡眠学会
『睡眠障害診療ガイド』(文光堂)日本睡眠学会認定委員会ワーキンググループ監修

監修:

塩見利明先生(愛知医科大学 睡眠科 教授)

 

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