レム睡眠・ノンレム睡眠とは?周期や脳波から知る適切な睡眠時間

レム睡眠とノンレム睡眠

レム睡眠とノンレム睡眠

人の眠りには、「レム睡眠」と呼ばれる身体を休める眠りと、「ノンレム睡眠」と呼ばれる脳を休める眠りがあります。
 
眠りにつくと、はじめに浅いノンレム睡眠があらわれ、時間とともに眠りが段々と深くなり、深い睡眠状態がしばらく続きます。その後、再び浅いノンレム睡眠状態になり、レム睡眠へと移ります。この、最初のレム睡眠が現れるまでの時間は深い睡眠の量によって左右され、30歳の平均でおよそ90分です。
 
レム睡眠の持続時間は若年者で5~40分くらいで、その後ノンレム睡眠の状態になる、という70~110分の睡眠サイクルが繰り返されます。平常時の睡眠の場合、深い睡眠は一晩の前半に多く出現し、レム睡眠は睡眠の後半に多く出現します。

レム睡眠とは?

レム睡眠とは?

レム睡眠は、明瞭な夢みがあり、外部からの感覚が遮断され、脳は浅い睡眠に近い眠りです。この間に脳は記憶を整理しています。
 
眠りに入ってから1時間ほど経つと、脳波はノンレム睡眠の段階1(覚醒に近い浅い眠り)に似た形を示し、まず、筋肉の動きが低下します。次に、左右に眼球が動く急速眼球運動(REMs<レムズ>=Rapid Eye Movements)がはじまります。この眼球運動の「REM<レム>」という頭文字から「レム睡眠」と呼ばれています。
 
レム睡眠は、眠っていても本能的に外敵に対応できるよう、脳の覚醒状態を継続させる、という変温動物の頃から発達させてきた「原始的な眠り」です。ノンレム睡眠後におこるレム睡眠状態の時は脳が一見浅い睡眠のように見えますが、同時に外部からの刺激を遮断する機能も働いています。物音など、外部からの刺激で目が覚めやすいということはありません。
 
起床時刻に近づくにつれ、ノンレム睡眠のよりもレム睡眠の時間が長くなり、深部体温も上昇し覚醒の準備をしていきます。覚醒状態に近いノンレム睡眠のタイミングに目覚ましをかけたり、起こされたりすると、スムーズな目覚めを迎えられます。

ノンレム睡眠とは?

ノンレム睡眠とは?

ノンレム睡眠は、脳を休めるための眠りです。ノンレム睡眠のあいだは、知覚、随意運動、思考、推理、記憶などをつかさどる大脳皮質や、身体を活発に活動させる時に働く交感神経などを休ませています。深部体温を低下させ脳の冷却のために身体から熱が放され、寝汗をかくのが特徴です。ノンレム睡眠時は、脳内で知識としての記憶の定着が行われたり、ストレスが取り除かれたりしています。身体(筋肉)の緊張は低下しています。
 
レム睡眠時に見られる急速眼球運動がないことから、ノンレム睡眠(NREM<ノンレム>=Non Rapid Eye Movement)と呼ばれています。
 
ノンレム睡眠には4つの段階があります。
 
「段階1」のノンレム睡眠時は、声をかければすぐに目が覚める程度の浅い眠りです。「段階2」は、耳から入る情報をキャッチすることはできる程度に眠っている状態です。「段階3、4」は徐波睡眠や深睡眠期と呼ばれ、身体も脳も休んでいる状態です。
多少の物音では目覚めないため、大声で呼びかけたり、身体を揺さぶったりしないと起きません。
 
こうした眠りの状態を正確に知るためには、脳波、眼球運動、オトガイ筋(あご)の活動など、複数の生体情報を測定します。
 
レム睡眠とノンレム睡眠は、鳥類や哺乳類など一部の動物にみられる睡眠です。
人間の段階3、4のノンレム睡眠の時間は、他の哺乳類よりも長く、その理由は脳が発達しているためだと言われています。人間の大脳皮質は、機能するために大量のエネルギーを必要とし、機能を維持するための休息も必要とします。人間は活動時間が長いので、その分休息が必要になり、深いノンレム睡眠の時間が長くなったと考えられています。

ふたつの眠りがある理由

タイトル

レム睡眠時に脳が完全に休んでおらず筋肉の緊張を抑制するメカニズムが働いているというシステムは、人間や哺乳動物にとって、身体も脳も休んでしまう無防備な時間を短くするという利点があったのではないかといわれています。

レム睡眠とノンレム睡眠は交互に現れる

平常時は一晩のうちに、レム睡眠とノンレム睡眠を3~5回繰り返します。レム睡眠とノンレム睡眠の1セットの時間は、約70~110分程度。レム睡眠とノンレム睡眠との割合は、成人でレム睡眠20%、残りのノンレム睡眠が80%といわれています。
 
また、一晩の睡眠時間の前半に、深い睡眠を示すノンレム睡眠の「段階3、4」が集中しており、最初の3時間が一晩の深い眠りのうちの80~90%を占めるといわれています。睡眠時間の後半、起床時間に近い時間帯は一晩の50%を占めるノンレム睡眠の「段階2」やレム睡眠の状態になっています。

レム睡眠・ノンレム睡眠と記憶の定着

レム睡眠・ノンレム睡眠と記憶の定着

睡眠中には、脳で記憶の整理が行われています。
記憶の方法には、「身体が覚えるもの」と、「知識として覚えるもの」の2種類があります。

身体で覚える記憶

スポーツや楽器など芸術的な技能、スポーツの運動技能を覚えることは「非陳述記憶(手続き記憶、言葉で表せない記憶)」と呼ばれ、レム睡眠時に記憶されます。
 
睡眠不足になると、ノンレム睡眠が優先される仕組みになっているため、レム睡眠の時間が少なくなり、非陳述記憶が定着しづらくなります。つまり、寝る間を惜しんで練習しても、体得が必要な技術は上達しないといえるでしょう。

知識として覚える記憶

歴史の勉強などの知識や、その日に見聞きしたものなど、言語化して記憶するものは「陳述記憶」とよばれ、ノンレム睡眠時に言語と視覚が結びついて定着します。脳の「海馬」を経由して、大脳皮質に定着すると言われています。

レム睡眠・ノンレム睡眠と夢の内容

レム睡眠・ノンレム睡眠と夢の内容

夢の内容は、レム睡眠時とノンレム睡眠時で異なります。
 
夢は、記憶の再生と再処理過程で現れる「脳内イメージ現象」であるとも言われています。これまで自分が体験した出来事や、蓄積してきた記憶や情報がランダムに抽出されて、映像イメージなどに反映されたものが夢になるのです。そのため、自分で夢の内容をコントロールすることは難しく、時に夢は荒唐無稽なものであったり、恐怖心に駆られるものであったりします。

レム睡眠時の夢

わりとはっきり思い出せるものが多く、ストーリー展開があり、ドラマ仕立てのようになっている場合もあります。また、目が覚めた時に内容を覚えていることが多く、他人に説明しやすい内容です。

ノンレム睡眠時の夢

夢の内容は平凡で、はっきり覚えていることはあまりありません。なんとなく夢を見たような感覚が残っていたとしても、どんな夢だったかを他人に説明できないケースが多くあります。

レム睡眠・ノンレム睡眠時の眼球運動と夢の関係性

レム睡眠時の眼球運動は、夢の中のイメージを追っているのを反映しているとも言われていましたが、実験によって、ものを見る時に目を動かそうとする大脳の働きの有無にかかわらず、この運動が見られるため、現在では眼の動きが夢の中の体験と連動しているとは考えられていません。

レム睡眠・ノンレム睡眠と金縛り

レム睡眠・ノンレム睡眠と金縛り

夜中にふと目が覚めて身体がまったく動かせない…超常現象として語られることもある「金縛り」は、実は「睡眠麻痺」とも呼ばれる生理的現象のひとつです。
金縛りは、正常な状態とは違って入眠期にレム睡眠が出現したり、お昼寝のような短い睡眠でレム睡眠が起こり目覚めた時に起こりやすいのです。レム睡眠中、脳は覚醒に近い状態ですが、筋肉の緊張が抑制されているため、筋肉が動きません。このときに何らかの要因で覚醒状態になると「脳は起きているのに身体は動かない状態」になります。
 
また、レム睡眠中は自律神経のコントロールがしづらく、呼吸や心拍数が変動しやすい状態でもあります。そうした身体の変化が、「上に人が乗っているような圧迫感」や「息苦しさ」につながっているとも考えられています。

金縛りの原因

精神的・肉体的なストレスを抱えていたり、不規則な生活をして身体のリズムが崩れ、自律神経が乱れていたりすると、「入眠時レム睡眠」と呼ばれる現象が起こることがあります。平常時はノンレム睡眠から入眠しますが、レム睡眠から入眠すると、眠りに入った時に脳が覚醒に近い状態なので、金縛りが起こりやすい状態になります。
 
また、入眠後、レム睡眠時に覚醒し、再度眠りに入るときに「入眠時レム睡眠」が起こって金縛りになることもあります。
 
金縛りにならないようにするためには、不規則な生活をやめ、ストレスをためないようにすることが先決。もし金縛りにあったときには、無理に起きようとせず、そのまま眠るようにしましょう。
一度起きてしまうと、脳が働き出して怖かった体験を分析し、すごく怖い経験をした印象が残り、眠れなくなることもあります。
 
金縛りにあったときには、「ストレスがたまっているかもしれない」という程度にとらえ、あまり深く考えずそのまま眠ってしまうことがよい対処法です。

十分な睡眠時間と睡眠の質

十分な睡眠時間と睡眠の質

脳や身体の疲れをとるには、深い睡眠状態に入る「前半の睡眠」を安定させることが重要です。深い睡眠を示すノンレム睡眠の「段階3、4」が睡眠の前半に集中しており、最初の3時間が一晩の深い眠りのうちの80~90%を占めていると言われているからです。
また、同時に記憶を整理し、学習するためには、後半も眠っていることが必要です。
 
そのため、睡眠時間が3~4時間程度では、十分な睡眠といえません。脳と身体を休め、機能をしっかりと回復するには、成人では1日7時間程度の睡眠は必要だといえるでしょう。

レム睡眠・ノンレム睡眠と加齢

レム睡眠・ノンレム睡眠と加齢

年をとるにしたがって、一晩の眠りにおけるレム睡眠と徐波睡眠(ノンレム睡眠の段階3、4)の占める割合が変わってきます。
 
35歳を過ぎるころから、だんだんと徐波睡眠の時間が減っていきます。ノンレム睡眠の時間は、日中の活動量や基礎代謝量によって変動する、と考えられています。
以下に、一晩の眠りの中でのノンレム睡眠が占める平均的な割合を、年齢別にまとめました。

  • 10歳…約25%
  • 20歳…約20%
  • 30歳…18%
  • 40歳…15%
  • 50歳…13%
  • 60歳…10%
  • 70歳以上…10%以下

 

一方で、レム睡眠の占める割合は年齢が上がっても、約20%前後と大きな変化はありません。
 
加齢によって増えるのは、入眠後の中途覚醒です。「夜中に途中で目覚めた」と記憶に残るものから、記憶に残らない数十秒程度の短いものまでを含めて、「中途覚醒」といいます。以下に、年齢別の平均的な中途覚醒の時間をまとめました。

  • 20歳…約10分
  • 35歳…約20分
  • 50歳…約30分
  • 60歳…約40分
  • 70歳…約60分

 

年齢を重ねるごとに、レム睡眠・ノンレム睡眠のサイクルが不安定になっていき、「ぐっすり眠れた」と感じる「熟眠感」を低下させます。
若い頃はもっと眠れたのに、と以前と同じように眠れないことに不安を覚える人もいますが、年齢とともに睡眠も変わっていくもの。その時の自分に合った眠り方を探していくことが大切です。
 
監修:白川修一郎(睡眠評価研究機構)
 
参考図書:
『睡眠とメンタルヘルス』(ゆまに書房)監修/上里一郎 編/白川修一郎
『脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法』(永岡書店)白川修一郎
『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)白川修一郎

photo:Getty Images

 

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