睡眠薬を使うときの心得

薬には、一般的に「効き目の力(効力)」と「効き目の持続時間」の2つの特徴があります。睡眠薬も同様で、薬によって効力が弱いもの・強いもの、効く時間が短いもの・長いものがあります。この選択を間違えてしまうと、せっかく薬を飲んだのに睡眠の途中で覚醒してしまったり、睡眠薬の効果が起床時まで残ってしまったり…ということになります。
どのようなタイプの睡眠薬が自分に合っているのか、主治医とよく相談することが大切です。

睡眠薬を飲むタイミング(時刻)

睡眠薬を飲むタイミングによって、効き目が左右されます。薬の種類に関わらず、薬の成分の血中濃度が最も高まるのは薬を飲んだ30分~1時間後です。この効き目のピークを逃してしまうと、せっかく薬を飲んでも寝つけなくなってしまうことがあります。ピークを逃したことに気づかず、薬が効かないと誤解して飲む量を増やしたりすることは禁物です。
薬を飲んだらすみやかに寝床につくようにしましょう。

睡眠薬の効力

睡眠薬は、身体の新陳代謝が活発になるにつれて効力が抑制されていきます
薬の効き目のピークが過ぎ、下降していく時間に合わせて身体の新陳代謝を上げていけば、睡眠薬の作用を穏やかにフェードアウトさせることができます。そのためには、効き目の持続時間を把握しておくことが大切です。
睡眠薬には、超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型があります。今後最もポピュラーになっていくのは超短時間作用型です。反対に長時間作用型はあまり一般的ではありません。

睡眠リズムを整える睡眠薬が登場

これまでの睡眠薬は睡眠を促す目的のみに使われ、眠りのリズムそのものに働きかける作用はありませんでした。最近になって、体内時計を整え身体を睡眠モードへ切り替えることで自然な眠りを促す薬も登場しています。眠りを促すホルモンであるメラトニンと同様に、メラトニン受容体と結合することで入眠に作用する薬です。
症状や目的に応じて、選択の幅が広がっています。

睡眠薬の副作用

睡眠薬を使用する際には、副作用があることも知っておきましょう。
以下がその代表的な例です。

① 持ち越し効果
睡眠薬の効果が翌朝以降も持続し、すっきり起きられない。

② 記憶障害
一時的に記憶が途切れたり、経験したことを忘れてしまったりする。作用時間の短い睡眠薬を大量に使用する、アルコールと一緒に飲むなどすると起こりやすい。

③ 早朝覚醒
朝早くに目が覚めてしまう。超短時間型や短時間型の睡眠薬は作用する時間が短いため、深い睡眠へ移行する前に効果が薄れることで起こる。

④ 反跳性不眠・退薬症候
続けて使用していた睡眠薬の服用を突然中止したために不眠が起こる。作用時間の短い睡眠薬ほど起こりやすい。

⑤ 筋弛緩作用
体が弛緩し、ふらつきや転倒の原因になる。高齢者に起こりやすい。作用時間の長い睡眠薬で比較的多く起こる。

⑥ 奇異反応
些細なことに興奮しやすくなり、攻撃的な行動をとったりする。高用量の睡眠薬、または超短時間型の睡眠薬とアルコールを一緒に飲むと起こりやすい。

 

また、睡眠薬をお酒といっしょに服用するのはNGです。薬の効果が上がらないばかりでなく、副作用だけが強くなってしまいます

 

>>睡眠薬とのつきあい方

参考図書:

『睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)』(医学書院)発行:日本睡眠学会
『睡眠障害診療ガイド』(文光堂)日本睡眠学会認定委員会ワーキンググループ監修

『睡眠薬の適正な使⽤用と休薬のための診療ガイドライン』日本睡眠学会

監修:

塩見利明先生(愛知医科大学 睡眠科 教授)

  • 本ページ内の医師による回答・説明は診療行為ではありません。
  • 自己責任において利用し、必要があれば適切な医療機関を受診してください。

知っておきたい 睡眠薬