ストレスへのスタンダードな対処法は「眠る」

嫌なことに直面したり不安やストレスを感じたりしたとき、眠気を感じる人は多いのではないでしょうか。

2000年に厚生労働省が行った調査によると、ストレスへの対処行動として「寝る」、あるいは「寝床に入る」と答えた人は全体の20%以上にものぼりました。

ストレス実験から分かった驚きの結果とは?

国立精神・神経医療研究センターの栗山健一博士らの研究チームが以下の実験を行ったところ、興味深い結果が導かれました。

 

① 交通事故映像を用いて、被験者に仮想的な事故体験をしてもらう。
② その日の夜、そのうち半分の人たちには十分睡眠をとってもらい、もう半分の人たちには完全に徹夜をしてもらう。
③ 後日、両者の生理的ストレス反応を比較する。

 

その結果、十分に眠った人たちよりも完全に徹夜をした人たちの方が、ショッキングな体験を思い出した際の恐怖感や発汗などの生理的ストレス反応が和らぐことが判明しました。

 

睡眠が嫌な記憶を定着させる?

不安から逃れるために眠りたいと感じても、悩んでいることが気がかりで何度も目が覚めてしまうこともあります。実はこれは、人間の本能的な危機回避能力によります。
睡眠は日中の体験に伴う記憶や技能を脳と身体に定着させようとする働きがあります。これによって、ショッキングな出来事に直面した晩にしっかり眠ると、必要以上に心に強く記憶されてしまうおそれがあるのです。

 

眠りたいのに眠れずにつらいストレス性の不眠。しかしこれは本来歓迎すべき、人間本来の生理現象ともいえるのかもしれません。

 

 

参考図書:
『睡眠のはなし』(中公新書)著/内山真

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