睡眠に影響を与える要因

睡眠に影響する寝室の三大環境要因は以下です。

<睡眠に影響する寝室の三大環境要因>

温湿度

睡眠と温湿度の関係

正常な夜間の睡眠では、就寝する前から特に足の甲や手の甲などの末梢の皮膚温が上昇します。そこから放熱が行われるため、身体の深部体温は低下。入眠後は、起床に向けて再び体温が上昇します。

つまり、入眠前・入眠後にスムーズに体温が低下することがよい眠りにつながるのです。そのため、寝室の温度環境は重要です。

 

<温度環境>

高温環境

寝室が29℃以上の高温だと、気温と皮膚温の差が少なくなり手足から熱が逃げにくいため、深部体温の低下が抑えられてしまいます。皮膚温の上昇だけでは放熱が十分ではなく、全身発汗量が増加。さらに睡眠中は覚醒が増えてしまいます。中途覚醒はとくに睡眠前半に見られます。

 

低温環境

裸で寝具を使用しない環境では、室温が29℃未満になると覚醒が増えます。一方、寝具を使用した場合は、16~19℃が最も睡眠感がよかったというデータ結果があります。環境温度が10℃未満になると、深部体温は低下が大きくなり体温に影響が現れるため、良質な睡眠を妨げると考えられています。

<湿度環境>

高湿度環境

35℃相対湿度75%という高温環境では、35℃50%、29℃75%、29℃50%に比べ、覚醒が増えます。同じ35℃でも、湿度が高い方がより暑く、不快に感じるため、まずは温度よりも湿度を下げることが重要です。

 

低湿度環境

冬場は極端に空気が乾燥するため、加湿器などを使用し、空気の乾燥を防ぐ必要があります。ただし、高齢者が好む電気毛布の使用は要注意。布団の中が過剰な加温状態となってしまい、夏の高温環境と同様のストレスとなります。

<快適な温湿度環境とは>

寝具を利用する場合、快適に眠れる室内の環境は温度が16~26℃、湿度は50~60%と言われています。ただし、一般的に高齢者は体温調節機能が低下するため、良好な温度条件はより狭くなります。空調や加湿器・除湿器などを活用し、快適な温湿度環境をつくることを心がけましょう。

睡眠と音

睡眠の妨げとなる騒音は40~50デシベル以上。寝室内の壁のスイッチ操作音とほぼ同じレベルの音量です。音の種類は、持続する連続音よりも突発的な衝撃音でより覚醒しやすくなります。とくに睡眠の維持機能が低下し中途覚醒が増える高齢者は、音に反応しやすくなり、騒音が問題になりやすいとされています。

<騒音対策>

室外からの騒音には、窓に厚手のカーテンをかけたり、ドアをしっかり閉めたりすることで改善の余地があります。ひどいときには、防音サッシ、防音ドア、住宅の壁面を防音素材で覆うなど対策が可能です。

睡眠と光

光環境は就寝前・睡眠中・起床時にわけて考えます。

<就寝前>

灯りをやや落とした環境で過ごすことで、その後の円滑な入眠へつながります。夜に分泌され、睡眠促進効果のあるホルモン=メラトニンは、明るい光を浴びることで抑制されてしまうためです。

就床約1時間前から分泌がはじまるメラトニンは、500ルクス以上の光で抑制されてしまいます。通常の室内照明は300~500ルクスです。

またメラトニンは蛍光灯などの青白い光でより抑制されてしまいます。

 

就寝前の対策

就床約1時間前から暗めの暖色系の照明を用いるとよいでしょう。

また、深夜にコンビニやガソリンスタンドなど昼間並に明るい場所に行くことも避けましょう。

スマートフォンやパソコンの利用は控えましょう。

>>質のよい睡眠につながる、就寝直前の過ごし方とは?

<就寝中>

睡眠中は真っ暗にすると不安な人や、トイレなどに立ちやすい人は、薄暗い状態にするとよいでしょう。

 

対策

不安な人は、寝室に豆電球1つ程度の灯りを残しましょう。ただし、室内が暗くてもトイレまでの廊下やトイレ内の照明が明るすぎると、目がはっきりと覚めてしまい再入眠が難しくなることも。廊下やトイレは1~40ルクス程度に設定しましょう。

<起床時>

起床時はすっきり目覚めるため、2500ルクス以上の明るい光を浴びるとよいでしょう。

これによって、身体のリズムが整い、覚醒効果と自律神経が活動に適した状態に切り替わる効果が得られます。

 

対策

深部体温の最低点から約5時間後(通常の場合は起床から約3時間後)までに明るい光を浴びると、生体リズムの周期が24時間に調整されます。

また、起床30分前から寝室内の明るさを少しずつ上げていくと、よりすっきりした目覚めにつながるとも言われています。
>>質のよい睡眠につながる、朝の過ごし方とは?

パジャマ、空気、香りなども重要

<寝具>

就寝中の衣服や寝具は、起きているときよりも保温性の高いものにしましょう。寝具と人間の間の温度と湿度=寝床内気候は、温度32~34℃、湿度50±5%が快適な睡眠をもたらします。空調での室内環境の調整に加え、冬はかけ布団よりも敷布団の枚数を増やすことと、肩までしっかり覆うことが寒さ対策に。そうすることで、寝返りの邪魔をせず、また寝返りをうったときに冷気が布団内に入ることなく眠ることができます。

 

夏は、冷却枕、身体と敷布団の間に適度な隙間をつくる寝具やマットレスなどの使用がおすすめです。

パジャマは、身体を締めつけず、肌触りがやわらかく、吸湿性・吸水性に優れたものがいいでしょう。

<空気>

花粉やダニなど空気の汚れが原因で起こるアレルギー性鼻炎。症状が集中するのは早朝~午前中。そのためアレルギー性鼻炎をかかえる患者は睡眠の質が低下している人が多くいます。

花粉が原因の花粉症の人は、室内に花粉を持ち込まないようにしましょう。花粉の季節は、布団を天日干しにせず布団乾燥機を利用するのも手です。

ダニやほこりが原因のアレルギーの場合は、布団や毛布などの寝具、畳、絨毯、ぬいぐるみなどを2時間程度の天日干し、または布団乾燥機による加湿(50℃で約1時間)で、ダニを死滅させたあと、電気掃除機でダニの死骸を吸入しましょう。

<香り>

香りは入眠や目覚めに劇的な効果はないものの、補助的に使用することが可能と言われています。

 

鎮静作用のある香り

ラベンダー、カモミール

 

交感神経活動を抑制する香り

スギ、ヒノキ

 

覚醒作用のある香り

ジャスミン、ペパーミント

 

参考図書:
『基礎講座 睡眠改善学』(ゆまに書房)監修/堀忠雄、白川修一郎 著/堀忠雄ほか

  • 本ページ内の医師による回答・説明は診療行為ではありません。
  • 自己責任において利用し、必要があれば適切な医療機関を受診してください。