ストレスが引き起こす不眠

ストレス状態にあると不眠が起こりやすくなります。その原因は、ストレスホルモンと呼ばれる副腎皮質刺激ホルモン、コルチコトロピン(ACTH)です。
ストレスがかかると、視床下部にある神経細胞がコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)を下垂体門脈という血管に放出します。このホルモンが下垂体に入ることによって睡眠を抑制する作用を持つコルチコトロピンが分泌され、不眠を呼び、さらには免疫機能をも低下させてしまいます。
〈ストレスによる睡眠障害が起こりやすい人の特徴〉
・まじめで責任感が強い人
・いつも時間に追われている人
・競争心が強く、負けず嫌いな人
・イライラしやすい人
・いつまでもクヨクヨしやすい、執着気質のある人
〈ストレスによる不眠以外の睡眠障害〉

ストレスが昼間の眠気につながる

コルチコトロピン放出ホルモンが分解されると、一転して睡眠を促進する作用がもたらされます。コルチコトロピンを構成するアミノ酸が、レム睡眠、ノンレム睡眠それぞれを促進する働きへと変化するためです。このため、ストレスが続くといくら眠っても眠いという状況に陥ってしまいます。

ストレスが生物時計も狂わす

生物時計には、1日周期の概日リズムのほか、1ヵ月周期、1年周期などいくつかのリズムがあります。
ストレスがかかると、このうち90分周期(ウルトラディアンリズム)というリズムを変化させ、眠気を感じる周期に影響が及ぶことになります。

ストレスにより睡眠の質も低下

睡眠不足で脳が疲れていると、よりストレスを蓄積しやすくなり、いっそう眠れなくなるという悪循環に陥ります。
たとえ眠れても、ストレスがあると深い睡眠が阻害されるため、眠りの質が低下してしまいます

睡眠にはストレスを緩和する効果も

ノンレム睡眠には、不必要な記憶を消去する働きがあります。このため、しっかり睡眠がとれていれば、ストレスも早く解消できます
ただし、強いストレスを感じている場合は、寝たいと思っても交感神経の活動が活発化するため、スムーズな睡眠へ移行することが難しくなります。

長期な不眠を引き起こす慢性ストレス

長期にわたって眠りに影響を与えるのは、急性ストレスよりもなかなか解消しにくい慢性ストレスです。ストレスを感じた直後は生体防御反応が起きて緊張が高まりますが、少し落ち着くと抵抗期となり、はじめのストレス源(ストレッサー)には抵抗できるようになります。しかし、このときにさらに新たなストレスを感じると抵抗力は低下。さらに強い刺激を持つストレッサーに長く晒されると生体の抵抗機能が低下し、適応力がなくなってしまうのです。
〈不眠につながりやすいストレスの原因〉
一時的なストレス
残酷な映画やドラマ、試験、会議、旅行先などの慣れない環境
慢性的なストレス
仕事全般のこと、人間関係

緊張を和らげるリラクゼーション方法

ストレスを和らげ、スムーズな入眠の助けとなるリラクゼーション法には、体の筋肉の緊張をほぐす筋弛緩法と、イメージ訓練や瞑想などの認知的弛緩法があります。
〈筋弛緩法〉
① 仰向けになった状態で目を閉じ、手足を自然に伸ばして全身の力を抜く。座って行ってもOK。
② 5秒間、70%くらいの力で右手にぎゅっと力を入れる。
③ 10秒間、右手の力を抜く。緊張した状態と力が抜けた状態の違いを感じる。
④ ②③の動作を左手に替えて行う。
⑤ ①~④を2~3回繰り返す。
〈イメージ訓練〉
布団に入る前にリラックスできるイメージをいくつか紙に書き、そのうち最もイメージしやすいものを、目を閉じて思い浮かべましょう。周りに何が見えるか、どのように感じているか、音や声や雰囲気など、細部まで細かくイメージすると、より鮮明になります。
布団に入ったら、寝つくまでの間、このイメージを保ち続けるようにします。

適度なストレスならプラスに働く

まったくストレスを感じない生活もよくありません。適度なストレスはやる気を引き出し、目覚めを促す原動力になります。目標などポジティブに考えられる、ほどよいストレスに置き換えることでストレスと上手に付き合い、睡眠覚醒リズムを調整していきましょう。

参考図書:
『睡眠のしくみ』(ナツメ社)監修/鳥居鎮夫、睡眠文化研究所 著/小林保
『眠りについて知ろう。』(編:快眠コンソーシアム事務局)著/竹内由美 監修/白川修一郎
『快適な眠りのための睡眠習慣セルフチェックシート』(全日本病院出版会)著/林光緒、宮崎総一郎、松浦倫子

 

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