うつ病と睡眠

うつ病患者さんのほとんどが睡眠の問題を抱えています。8割に中途覚醒や早朝覚醒などの不眠症状、残りの2割に日中に強い眠気を感じる過眠症状があります。
うつと睡眠は、ニワトリと卵のような関係です。うつだから眠りが乱れ、眠りが乱れるからさらにうつ病が進行する、という悪循環を繰り返してしまいます。

アメリカのジョンズホプキンス医科大学で、学生時代に不眠を経験した人を約35年間追跡調査したところ、その後うつ病になった人が極めて多いという結果が出ました。
もしうつにかかる前に不眠の時期があるならば、不眠の治療を優先するのもひとつの手です。

うつ病の睡眠障害

うつ病は、「大うつ病」と新しいタイプの「非定型うつ病」の大きく2つに分類され、それぞれ対照的な睡眠障害があらわれます。大うつ病の人は、内科でなく精神科に受診されるべきです。

 

<大うつ病の特徴>
従来の大うつ病(単極性うつ病)の人は、自責の念が強く自分自身を責めがちです。食欲不振から痩せてしまう人も少なくありません。不眠症状が強いため、とくに朝方に調子が悪い傾向にあります。

 

<非定型うつ病の特徴>
若者に増えている新しいタイプのうつ病です。排他的になり、他人を非難しがちです。
食欲が増進するため太りやすく、過眠傾向が強くなります。
ただし、眠りは非常に浅いため、長時間うつらうつらしてしまい、質の面からは決して良い睡眠ではありません。こうした不規則な睡眠がうつ病の一因になっているとも考えられています。
大うつ病とは対照的に、夕方に孤独感が増し、調子を崩しやすい特徴があります。

うつ病治療後不眠症とは

うつ病が治ったとしても、不眠や過眠が改善できないとうつの再発率も高くなります。それを「うつ病治療後不眠症」といいます。うつで休職したまま、なかなか復職できない人の中には、このような悪循環に陥り、不眠が治りにくくなってしまっている人もいます。

不規則な生活が招く「うつ病のような」症状

慢性的なうつ状態のようにみえて、実は生活が不規則なため睡眠リズムが狂っているだけに過ぎない場合もあります。
そのような場合、病院でメンタル面の治療だけを進めても、ライフスタイル自体を改善しなければなかなか治りません。まずは睡眠の時間帯、量(時間)、質(深さ)から見直してみましょう

うつ病の対処法

うつのほとんどは何らかの睡眠障害を招きます。うつかもしれないと感じたら、心療内科や精神科を受診するとともに、自分の睡眠に何か問題がないかを見直してみましょう。

 

参考図書:

『睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)』(医学書院)発行:日本睡眠学会
『睡眠障害診療ガイド』(文光堂)日本睡眠学会認定委員会ワーキンググループ監修

監修:

塩見利明先生(愛知医科大学 睡眠科 教授)

  • 本ページ内の医師による回答・説明は診療行為ではありません。
  • 自己責任において利用し、必要があれば適切な医療機関を受診してください。