女性ホルモンが睡眠に与える影響

女性は、女性ホルモンの影響で睡眠の質が低下しやすいという特徴があります。
月経を迎えた女性の場合、排卵から次の生理がくるまでの「黄体期」には、妊娠を助けるホルモン=プロゲステロンの分泌が増えます。プロゲステロンには睡眠作用があり、黄体期や妊娠初期は眠くなりやすくなるといわれています。
ところが、一方で黄体期は基礎体温が高くなるため、夜になっても深部体温が低下せず、寝つきにくくなることも。そのため眠いのに、いざ寝床に入ると眠れない、という不安定な状態になりやすくなります。黄体期はホルモンの変動で情緒不安定になりやすく、そのストレスでさらに眠りにくくなることも。この時期はゆっくりとした気持ちで過ごすことが重要です。また、女性の睡眠は、妊娠や加齢などによる体質の変化にも左右され、ライフステージによって変化します。睡眠障害には、女性特有のものもあります。
>>女性の睡眠障害
変化を感じたら、専門医に早めに相談しましょう。

妊娠中の女性の睡眠

【妊娠による睡眠の変化】
妊娠中は、女性ホルモンや身体の変化から、初期~後期まで睡眠状態が変わっていきます。

<妊娠初期>

プロゲステロンの作用で眠気を感じやすい時期です。つわりがひどい人は眠りたいのに眠れないという状態になることも。この状態は安定期に入るまでのものなので、その間もなるべく日中は起き、7時間程度の睡眠を確保するようにしましょう。眠気が強い場合は、日中に短い仮眠を。

<妊娠中期>

つわりも治まり、妊娠中期の睡眠は正常に戻ります。ただしお腹が大きくなり寝姿勢が保てないため、中途覚醒が増えることに。お腹の中の赤ちゃんはこの間も成長しているので、7時間程度の十分な睡眠、規則正しい生活を心がけましょう。また午後~夕方に軽い運動をすることで、夜の睡眠の質が高まります。

<妊娠末期>

赤ちゃんの成長による胎動や、子宮が大きくなることによっておこる腰痛やむくみ、膀胱圧迫、血液量が増えることで起こる頻尿などから、寝つきの悪さや中途覚醒が起こりやすくなります。これらにより睡眠状態が悪くなり、マタニティーブルーが発症しやすいとも言われています。規則正しい生活を意識し、日中は運動をするなど生活にメリハリをつけるよう心がけましょう。

<産褥期>

平時の1,000倍に増えた女性ホルモンは出産によって一気に激減し、一時的に更年期に似た状態になります。そのため自律神経系や精神に不調が起こり、眠れなくなることも。
さらに新生児の世話や授乳で夜間睡眠が中断されやすく、赤ちゃんへの責任感から脳が興奮状態となり、睡眠障害を引き起こすこともあります。
赤ちゃんの概日リズムを少しずつつくっていくためにも、朝はきちんと起き、夜は眠るという生活を積極的に心がけるようにしましょう。

【更年期】
更年期(閉経を迎える年齢=50歳前後)以降は、ぐっすり眠れないという女性が多くなります。更年期には女性ホルモンの急激な減少に伴い、「更年期障害」と呼ばれるさまざまな不調が現れることが知られていますが、睡眠にも障害が起こりやすいことがわかっています。他人から見るとぐっすり眠っているのに、本人は睡眠不満を感じている場合も少なくありません。ただし、この時期は更年期障害によるストレスだけでなく、加齢による自然な睡眠の質の低下による場合もあるので、一概には言えません。

 

いずれにしろ、素人判断は危険。安易に睡眠薬を服用せず、まずは婦人科に相談してみましょう。症状の軽いうちの方が回復の可能性は高いともいわれています。

 

参考図書:
『眠りについて知ろう。』(快眠コンソーシアム事務局)著/竹内由美 監修/白川修一郎

  • 本ページ内の医師による回答・説明は診療行為ではありません。
  • 自己責任において利用し、必要があれば適切な医療機関を受診してください。