眠ることすら困難に…摂食障害の苦しみ

眠ることすら困難に…摂食障害の苦しみ
鈴木さんが陥ってしまったのは、精神的なストレスなどによって心身の健康に深刻な影響を及ぼすとされる「摂食障害」。鈴木さんは、「拒食症」と呼ばれる、食べ物を受け付けなくなってしまう症状に苦しんだと言います。「中学校時代からお世話になっていたコーチの指導を受けて、世界の舞台で戦える選手を目指すために、仙台で一人暮らしをはじめたのですが、急激な環境の変化からくるストレスや、完璧主義すぎる性格が仇となってしまったんです」
 
フィギュアスケートの技術や表現力をさらに磨くために、「体重を管理しなくちゃ」「痩せなくちゃ」という思いが、鈴木さんを過度のダイエットへと走らせ、やがて食欲も湧かないほどに…。体重は1ヵ月で8キロ、その後も減り続けて一時は30キロ台にまでなり、リンクに立つことができなくなってしまいました。
 
「精神科で摂食障害と診断され、入院をすすめられるほどでした。でも、私はリンクの上に戻りたかった。入院してしまったら、健康な水準まで体重を増やすことだけが目的になってしまいます。それでは、退院後に競技に復帰できるか分からないので、私は自宅での治療を選択しました」(鈴木さん)
 
スケートリンクは自分自身を表現できる大切な居場所。大好きなその場所にもう一度戻りたいという一心で治療に励むのですが、すぐには結果に結びつかなかったと言います。
 
「まともに食べることができず体力が落ちていたので、横になって休んでばかりいました。すると、いつしか夜に眠れなくなってしまったんです。寝られたとしても、3時間位で起きてしまう…。当時は睡眠薬を服用して無理矢理に睡眠をとるという毎日でした」(鈴木さん)
 
改善の兆しが見えてきたのは、お母様との話し合いで「いっしょに頑張っていこう」と、お互いに病気を受け入れたころだと言います。始めは自分の作った食事を食べさせようとしていたお母様も、「まず食べられるものからでいいから」と言ってくれるようになったそう。
治療が進み、少しずつ食べ物を口にすることができるようになると、体力も徐々に戻ってきました。
 
「体力がついて動けるようになることで、夜には自然と疲れて眠くなるようになりました。それからは、夜に起きてしまうことはなくなりましたね」(鈴木さん)
 
家族の支えとスケートへの情熱で、鈴木さんは1年の休養を経てリンクへ復帰。2007年には、ユニバーシアード冬季大会で優勝。苦難を乗り超え、完全復活を果たします。
 

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