【椎名誠さん】35年間、不眠症。“いいかげん”が、唯一無二の対策

ハードな長旅で得る
イレギュラーな刺激は至極の“入眠剤”

椎名さんは、不眠症を抱えながらも“必ず眠れる場所”があるといいます。それは慣れ親しんだ自宅ではなく、意外な場所のようです。

 

「僕はときどき1~2ヵ月の長いハードな旅に出るのですが、そういうときは不思議と不眠にならないんです。毎日が刺激的で全力を使って行動しているし、危険回避のために神経を研ぎすませているからだと思います。これは非日常的で、イレギュラーな体験ですが、そういう激しい緩急は身体にとてもいいのだと感じています。ただ、こんなこともありました。その昔タクラマカン砂漠の探検隊に入ったとき、毎日砂嵐が続いてそれを防護するために睡眠不足になっていたんです。やっとの思いで、あるオアシスに入ったんですが、泊まった宿が全然“オアシス”じゃなかった(笑)。寝ようと思ったらロバ、イヌ、ニワトリがうるさくて、砂漠以上に眠れない。これまでの長旅経験の中で、寝付きが悪かったのは、あのときだけかもしれませんね」。

 

長期旅行での非日常経験は、不眠を解消するエッセンスになるーー。冒険家としても名高い椎名さんらしいアドバイスです。さらに椎名さんは、旅行時の移動手段である“飛行機”も眠りやすい場所のひとつだといいます。

 

「飛行機の振動やエンジン音、気圧……それらにつつまれる機内は、とても心地よく、ぐっすり眠れるんです。ただ、それを無惨に起こすのが、機内サービスのメシ(笑)。だからぼくは『食事は結構だ』という意思表示で、すぐにお酒を飲んで、寝られるだけ寝るようにしています。機内で眠れないことは、ほとんどないので、あの環境を自宅につくれれば最高なんだけどなぁ(笑)」。

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